夢の終わりと目覚め
――あらゆるものに亀裂が入り、目に見える光景ですら歪み、地上からの重力を見失って大小関係なく物体が浮かび上がっている。
もうすぐ終わる。
仮初の命も、仮初の世界も、残酷な運命も。
身体中から響く鈍痛の中、目の前で対峙していた歴戦の英雄達が叫んでいる。
けれど聞こえない。ひび割れていくこの身体に、もう聴覚は無いようだ。
みんな、泣いている。とても悲しそう。
視界に線が入り込む。頭にまで亀裂が回ってきたかな。
ああ、みんなの顔が見えないや。
泣かないで良いよ。これはボクが選んだこと。皆は元凶を倒して、この世界を終わらせられたんだから。
みんな、元の世界に還るだけ。正しいことをしたんだ。
――身体の隙間から光が溢れ出した。もう、終わりは目前に迫っている。
『みんな、元気でね』
別れの言葉を発するその口も、既に光に包まれてその機能を失っている。けれど、その笑顔だけは目の前の英雄達に届いた。
世界がアペレイスを迎えるように、足場が崩壊する。
力無く、四肢の感覚も感じないまま逆さまに落ちていく。
落下の直後、視界の隅で差し出された手が映る。
ありがとう。本当に、ありがとう。
ボクを、救ってくれて。
――ゆっくりと目を閉じる。
ただ一つ、心残りがあるとすれば。
それは――――。