男性は基本的にタクシーを移動手段として使用します。なお、徒歩だとナンパで前に進めなくなる場合があります。
朝はコーヒーと菓子パンが1、2個、もしくはトーストが1枚。気分によってはインスタントの味噌汁がつく日もある。
この菓子パン一つ買うのも、男にとっては大変である。なぜなら、男は一人でコンビニやスーパーにいけないから。
必ず、ナンパに合う。だから、彼女ポジの人がほしい。まぁ、彼女ポジがいても、ナンパしてくるやつはいるからマシってくらいなんだけど。
こういう時は、あいつが羨ましい。女装してたら気にも留められないから、スッと買える。便利でいいよね、女装。
僕がしても一瞬で男バレするから、女装無理なんだよな。ちなみに、利便性のために女装する男性はそこそこいる。太郎みたいなやつはいないけど。
いつものように、コーヒーを入れ、菓子パンを開けようとして手が止まる。
おっと、今日は朝食を食べたら駄目なんだった。菓子パンを戻し、コーヒーだけを席に運ぶ。
今日は橘とのデートの日だ。朝食から予定が決まっているデートのね。
コーヒーを飲む。通販で大量購入しているスティックコーヒー。コーヒーって日持ちするからいいよね。大量購入できて、買い忘れる心配がない。あと、スペースをあまりとらない。
コーヒーのおかげか頭が少しスッキリしてきた。コーヒーを飲み干し、そのままパパっと準備を済ます。
タクシーはもう呼んである、時間もバッチリ、服装も大丈夫。
よし。
「いってきます」
一人暮らしなので、言う意味はない。けれど、何故か言ってしまう不思議な言葉。
言葉を紡ぐ、良い一日になることを祈って。
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タクシーって便利な乗り物だ。運転手が女性で、ほぼ密室みたいなものっていうのは気になるけど、男性割があるし、他の公共交通機関より安全っていうのがとてもいい。
最初に目的地を入力すると、タクシーが道から外れた途端に警告がなるから男性でも安心して使える神システム搭載。
他は国が使うのをやめたほうがいいって注意喚起をするレベル。末期だね。
そんなこんなで、目的地に到着する。何でも、ここの朝食メニューが美味しいらしい。
店に入ると朝だからか結構すいている。目当ての人物も見つけやすい。
「ごめん。待った?」
「ええ、待ちました。30分ほどですかね」
「まだ、待ち合わせの15分前なんだけど」
「春野くんを待たせたらいけないので」
「気遣いありがとう」
それなら『今来たとこ』って言って欲しかったな。創作の中のカレカノっぽい。現実だと返って気を使われてる感がでて逆に嫌だけど。
「さてと、これがメニューです。おすすめはサンドイッチのAセットです。ドリンクはホットのコーヒーがおいしいですよ」
「そうなんだ。じゃあ、それ頼もうかな。ドリンクは⋯オレンジジュースにしようかな」
メニューに乗っているサンドイッチの写真は結構ボリュームがあって美味しそうだ。
「あれ?春野くんはコーヒーが好きじゃなかったですか?」
「好きだけど、朝飲んだからね。飲みすぎはあまり良くないし」
「⋯⋯なるほど。そこから、管理するべきでしたね」
管理ってなに?
聞くの怖いからツッコまないけど。
店員を呼び注文をする。僕と橘の2人分を頼む。30分も居たのにまだ食べてなかったんだ。そういう目をしていると橘が呆れたように返す。
「貴方と一緒にご飯を食べて、同じ時間を過ごしたいのです。わざわざ、言わせないでください」
乙女心がわかっていない、と愚痴るように橘はつぶやく。それがわかったら、苦労はしない。
「はいはい、ごめんね」
口先だけのわかりやすい謝罪。このくらいがちょうどいい。
「はぁ、いいですよ。この後の行動で取り返していただきます」
「それはそれで怖いんだけど」
「ガマンしてください」
「チェ」
橘に聞こえるかギリギリの声量での文句。あ、聞こえてるな。圧力のある笑顔してる。追及はしてこないけど、怖い。
そんな感じでしばらく待っていると、頼んだサンドイッチがやってくる。セットの内容としては、サラダとスープ、ドリンクがついた結構豪華なやつだ。
いただきます、とだけ言って食べ始める。サンドイッチは2つ。一つは朝食だからかレタスやトマトと野菜が多め、ハムも分厚くてバランスがいい。これだけあればサラダいらなそう。食べるけど。もう一つは卵サンド、具が多くて美味しそう。
サラダの方のサンドイッチにがぶりつく。ソースもしくはドレッシングがマッチしていて食欲が進む。そのまま、二口、三口。
「おいしい」
「それはよかったです。おすすめした甲斐があります」
橘はサラダをつまみながら、返事をする。サラダを最初に食べるのが体にいいらしいし、ちゃんとしてるな。まぁ、僕もサラダ(サンドイッチ)を最初に食べたから、健康だ。
そのまま料理を食べ進める。スープが一番おいしかった。サンドイッチは3位。サラダにすら負けた。おいしいんだけどね。
オレンジジュースを飲みながら、橘が食べ終わるのを待つ。サンドイッチが半分くらい残っている。15分はかからないと思う。待ち合わせのアドがなくなるのはちょっとね。
『待たせたらいけない』とか言ってたのにここで待たせるのかぁ、なんて考えてたらいつの間にか食べ終わっていた。体感0分だから待ってないな。
「お待たせしました。しばらくしたらこの店を出ましょう。時間には余裕がありますから」
「了解。えっと、次は確か⋯⋯」
事前にもらった予定表を思い出す。ダメだ、レシートみたいに長かったことしか出てこない。いつもレジで受け取らずに捨ててるのがよくなかったらしい。まあいい、スマホには入ってるから確認するか。
「男性専用ショッピングセンターですよ。予定表渡しましたよね?」
見てないの?そんな目で僕を見てくる。
「誰が見るんだよ。あんなレシート」
「渡せと言ったのは春野くんですよね?」
それはそうだけど。あれは、違うじゃん。目的地だけとかそういうのを想像してた。
「僕が悪かったよ。というか、あそこでよかったの?品ぞろえとか悪いよ」
「別にいいですよ。ナンパされたくなくて選んだので」
確かに、あそこでナンパするヤツはいない。居たら警備員が仕事してない。
「そろそろ行きましょうか」
「そうだね」
そんな感じで僕達のデートは始まった。