接続詞: 真化(まばゆ)評議会
その日は何気ない日で、私は寝室に入った......
今日はルイスがまだ帰ってきていない......だから寝る前にお気に入りの本を読もうと座ろうとした......だがその時......
「よお......」
聞き覚えのある老人の声が響いた......
「マルカム......なぜ!?」
私は銃を構えて即座に発砲した......だがマルカムは手を挙げて制止した......
「おいおい......落ち着けよお嬢さん......俺はもう死んでるんだぜ......」
「死んでる? 死んだふりでしょ......」
「いや?......『マルカム』は......本当に死んでる......でも俺はまだ死んでいない......」
私は眉をひそめた......それはどういう意味なのか......
「ああそうか忘れてた......見せた方が早いよな......だめだな......ずっと『物語』の全てを知っているから、他の奴らも同じように分かってると思い込んでしまう......」
マルカムはフラッシュドライブのようなものを取り出し......自分の頭に突き刺した......そして体はザザッというテレビの砂嵐のようなノイズに変わり―――――――――
その体は変化していった......白黒のゴシックロリータ衣装をまとった黒髪の少女へと......
そして彼女は......王冠まで被っていた......
「はじめまして......私は物語を破壊する者、真化(まばゆ)」
「物語を破壊する者?」
「そうよ......あなたも既に分かっているでしょう? 自分自身が『創られた存在』だということくらい......」
「は?」
もう話についていけない......でもとりあえず話に乗るしかない......
「あなた自身も......あなたの前身も、あなたの夫も、他の者たちも......皆それぞれに創造主がいる......そして私たちを創ったのは『創造主様』」
「創造主様は魔法を持っている......彼は私たちを創り出し......その魔法を使って、古びた一冊のノートに書き記した文字の世界から、私たちに自分自身の命を与えたの......」
「つまり......彼が私たちを創って、その魔法で私たちに物語を進ませているってこと?」
「その通り! さすが賢いわね......」
「それで......あなたは......何をしたいの......」
真化は私の目の前まで歩み寄ってきた......
「私はあなたに、物語を進行させる中心である主人公たちを、一緒に『破壊』してほしいの......」
「なぜ......」
「だってあなたは、創造主様が最初に思いついたキャラクターだもの......そして最も強力な主人公でもある......どう?」
「...............それでどうして破壊しなきゃいけないのよ......」
「私がやらなければ......あと何百人もの私が、あなたたち全員を破壊しに来るもの......」
「何百人もの......あなたが......」
「そう......私......様々な役を演じる真化たち......あなたの物語で言うなら、クイーン・真化である私が演じたのがマルカム......権力に溺れた老魔導士だけど、最後はヘンリー王に殺される......私たち『同一の存在』は集まって......『真化評議会』を結成したの。私がリーダーとしてね......だけどあいつらは私を追放して追い回した......だからこんな老人の役に隠れる羽目になったってわけ......」
「あなた......役を演じている? 女優ってこと?」
「そうそう、そう考えてもらってもいいわ。私は創造主様の負の感情から生まれた存在......だから彼が創り出した主人公たちが進める物語ごとに、様々な『悪役』を演じることになる。世界を滅ぼす神から、嫉妬深い悪女までね」
「あらゆる役の私がいるのよ。男も女も、老人も子供も......そして私たちの本当の姿は、それぞれ違う衣装を纏っているの......ほら見て......シェフの真化、世界大戦時代の兵士の真化、クレオパトラの真化」
私は黙り込んだ......
「どう?」
「嫌......」
こんな頭のおかしい女と、誰が協力するというのか......
だが真化が中指を軽く一度鳴らすと......私はその場に崩れ落ちた......体の内側がねじれていく......どんどん......どんどんと......
「うっ......」
痛い......痛すぎる......
「あぐっ!!」
真化は私の首を絞め......そのまま壁に激しく叩きつけた......
「じゃあ殺される覚悟をしておくことね......あなたなんて、創造主様が自分の愛を無情に拒絶した女の代わりに創り出した、ただの女に過ぎないのよ!」
「そして私が『何百人も』......あいつら全員を殺しに行くわ......」
そして彼らの名前が......私の頭の中に浮かび上がってきた......
クロエ・アンダーソン
クライン・クリフォード
クリフォン 寺沢
青山姫子
小仁人 郁郎
千代子・花火
青山アキト
赤木アキラ
丸山シンヤ
久志スバル
直悦西尾
桜庭 桜
そして他にも何百もの名前が......
私は吐いた......真化の足元に吐き戻してしまった......
「覚悟しておくことね......私は......全てを知っているんだから......そしてその日が来たら......会いましょう......」
そして彼女は消え去った......
これは一体何なの......どういうことなの......
私たち......殺されるっていうの?......
嫌よ......
お願いだから......
私の平穏な日々を返して......
続く......第二部へ......