ホーム召しませ!カッパの国の大戦争エピローグ
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エピローグ

 大切な冒険の日々から二年の月日が流れ、わたしは中学生になっていた。
 人間の国に戻ってからすぐは忙しかった。なにせ一週間もの間行方不明だった小学生が帰ってきたのだ。
 わたしはあの一週間のことを憶えていないことにした。騒ぎになっては困るし、カッパの国の迷惑になったらもっと困る。でもそれ以上に、あの冒険の思い出を自分だけの宝物にしておきたかった。ほんのちょっとした独占欲というやつだ。

 入学式に向かいながら、さて、わたしはどれほど変われただろうと考える。
 まず特筆すべきは泳げるようになったことだろう。水への恐怖がなくなって、今では楽しんで泳ぐことができる。こうして思うとキュウリ池の伝説は本当だったのかもしれない。中学校では水泳部に入るつもりだ。
 それから友達が増えた。蛙子ちゃんほどの仲にはなかなかなれるものではなかったけれど、みんなのおかげで楽しい日々を送ることができている。
 あとは、ちょっと前向きになれたことだろうか。わたしはまだまだ駄目なところが多いけれど、それを受け入れて前に進む力を手に入れた。うじうじ悩む夜もないではないが、以前ほどどんよりはしていないつもりだ。
 そんなわけで、わたしはそれなりに充実した日々を過ごしながら、あの一週間のことを回顧している。
 蛙子ちゃんはまだ現れない。

 自分の教室の場所を確認して移動する。そして窓際の席につき、教室内の喧騒に耳を傾けた。
 なんてことはない普通の――けれど浮かれた感じのざわめき。それは大戦争の後夜祭を思い出させた。楽しかったけれど、とても切なくもあった、あの夜である。
(ここに蛙子ちゃんがいてくれたらな)
 言っても仕方のないことだ。窓の外に目を向けようとした、そのときだった。
 ガラガラ、ダン! と教室の扉が勢いよく開かれたのだ。
 思わずそちらを見て、わたしは目を見開いた。
 教室に入ってきた、わたしと同い年の少女は教卓の辺りまで歩いていく。その歩調は広く堂々としている。
(――ああ。さすがだなぁ)
 わたしは思わず笑ってしまう。嬉しさで舞い上がりそうになりながら。
 教卓を叩いた制服姿の少女は、自信に満ち満ちた笑顔を浮かべていた。
「やあやあ人の子よー。あーしの名前は――」
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召しませ!カッパの国の大戦争作者:文月れとろ
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 人間の国に戻ってからすぐは忙しかった。なにせ一週間もの間行方不明だった小学生が帰ってきたのだ。
 わたしはあの一週間のことを憶えていないことにした。騒ぎになっては困るし、カッパの国の迷惑になったらもっと困る。でもそれ以上に、あの冒険の思い出を自分だけの宝物にしておきたかった。ほんのちょっとした独占欲というやつだ。

 入学式に向かいながら、さて、わたしはどれほど変われただろうと考える。
 まず特筆すべきは泳げるようになったことだろう。水への恐怖がなくなって、今では楽しんで泳ぐことができる。こうして思うとキュウリ池の伝説は本当だったのかもしれない。中学校では水泳部に入るつもりだ。
 それから友達が増えた。蛙子ちゃんほどの仲にはなかなかなれるものではなかったけれど、みんなのおかげで楽しい日々を送ることができている。
 あとは、ちょっと前向きになれたことだろうか。わたしはまだまだ駄目なところが多いけれど、それを受け入れて前に進む力を手に入れた。うじうじ悩む夜もないではないが、以前ほどどんよりはしていないつもりだ。
 そんなわけで、わたしはそれなりに充実した日々を過ごしながら、あの一週間のことを回顧している。
 蛙子ちゃんはまだ現れない。

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 なんてことはない普通の――けれど浮かれた感じのざわめき。それは大戦争の後夜祭を思い出させた。楽しかったけれど、とても切なくもあった、あの夜である。
(ここに蛙子ちゃんがいてくれたらな)
 言っても仕方のないことだ。窓の外に目を向けようとした、そのときだった。
 ガラガラ、ダン! と教室の扉が勢いよく開かれたのだ。
 思わずそちらを見て、わたしは目を見開いた。
 教室に入ってきた、わたしと同い年の少女は教卓の辺りまで歩いていく。その歩調は広く堂々としている。
(――ああ。さすがだなぁ)
 わたしは思わず笑ってしまう。嬉しさで舞い上がりそうになりながら。
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