第十八話 魔導剣士ロイ、異世界転移者と邂逅する
仲間と、今後のことなどについて話していると、ドアがノックされ、メイドが入ってきた。
「お待たせいたしました。ただ今、主人が戻りました」
彼女の後に続いて、身なりの良い、眼鏡をかけた肥満体の男性が入ってきたので、起立して礼をする。
「お初にお目にかかります。冒険者チーム『スティング・ホーネット』のロイ・ホーネットです」
他のメンバーも、続いて自己紹介する。
「どーもどーも。まま、席に着いて着いて。僕はタク・モロオ。絵師と、あとついでに交易商もやってるんだ。ところで、メイドって萌えると思わない?」
「はあ。何ぶんメイドとは、縁の薄い生活をしておりますもので......」
「やっぱさ、ご主人様 (ハート)って呼んでくれるのがいいよね! あと、従順なところ? それと......」
以後、体感三十分ほど、彼のメイド愛について聞かされる羽目になってしまった。
ついでに、自慢話も聞かされた。要約すると、この世界に飛ばされて「萌え絵」を描いたところ、斬新さがパトロンの心をつかみ、一気に売れっ子画家になったそうな。そして、今はその資金を元手に交易も始め、そちらも至極順調とのこと。
「ええと、よくわかりました。ところで、ご依頼について、詳しく伺いたいのですが」
放っておくと、いつまでも自分語りを続けそうなので、無理やり軌道修正をする。
「おお、失敬失敬。ええとね、ここから、馬車で片道一週間のところにあるバーブル王国に、絵とかヤマトウキビとか、あとは宝石とか工芸品なんかを売りにいきたいんだ。今、あそこ、すごく景気いいからね。現地の滞在期間は売れ行き次第だけど、まあ三日ってところかな」
そう言って彼は地図を取り出し、ルンドンベアから伸びる街道を東に行った、バーブルと書かれた地点を指差す。
「山賊あたりの襲撃を予想しますが、どうでしょう?」
「そうだね。ちょうど中間地点に出没するらしいね。あと、ゴブリンの巣も近くにあって、獲物の奪い合いをしているとかも聞くねー」
盗賊、あとゴブリンか。ゴブリンはちょっと予想外だったが、言い換えると、山賊の規模はゴブリンと拮抗する程度ということだ。あまり難敵ではないだろう。
「報酬は依頼票通り。あと、この隊商は規模が大きめだから、君たち以外にも冒険者を雇うからね」
そういや、依頼票が複数貼られてた気もするな。遠回しに、無茶な金額要求したら代わりはいくらでもいるということか。とはいえ、額が多目なのでこれといって不服もないな。あとは食費をどっちが持つか、という程度だろう。
「食料は支給されますか?」
「ああ、旅の間はこっち持ちでいいよ。まあ、日中のは保存食だからあんまり美味しくないと思うけど。宿場町と、向こうの滞在中はそっちで買ってね」
いやいや、食費二週間持ってくれるだけでも、十分ありがたいです。
ふむ、交渉はこんなもんかな。メンバーを見渡すと、皆頷いている。では、合意ということで。
「では、その条件でお願いします」
「おーけー。よろしくー」
モロオさんと契約書を交わし、握手する。
「明日の朝、六時の鐘で東門に来てね」
というわけで、今日は早めに宿へ引き上げ、休むことにした。
明日も頑張ろう。