ホーム›女はAカップ以下の世界で! 冒険、観光、ウマいメシ!›第二十九話 魔導剣士ロイ、カレーを振る舞う
← 前の話目次次の話 →

第二十九話 魔導剣士ロイ、カレーを振る舞う

「おお、久しぶりだねえ、この匂い!」

 師匠が、嬉々として着席される。皆もそれに続いた。

「ロイさん、いい加減種明かししてくださいよ。これなんていう料理なんです?」

「ああ、勿体もったいつけたつもりはないのだけどね。カレーというスープ料理だよ。俺の異界知識にあった料理なんだ」

 クコの問いに答えながら、皆のボウルにスープをよそう。

「では、頂くとしようか」

 俺が着席したのを見て、師匠が音頭を取る。

「カラーイ! ウマーイ!」

 新たな味覚に、義妹いもうとは大騒ぎである。

「これは面白いですねえ。新しい調合に使えるかも知れません」

 クコも、感心することしきり。

「しかし、夏場にこれは汗が止まりませんね」

 手で、ぱたぱたと自分を扇ぐパティ。鎧の上から、効果があるのだろうか。

「それがいいんだよ。夏場には、辛いものがいいんだ」

 我ながら上出来だ。ほっこりしたじゃがいも、とろけるたまねぎと人参の甘み。それに辛味が一体となって口腔を刺激する。

 ナンシアの焼いてくれたパンが、またふかふかで芳こうばしく、柔らかな触感。ほのかな甘味がカレーの辛さにマッチする。パティじゃないけど汗だくだ。美味い! 辛い! 美味い! 辛い! それがいい、そこがいい。

「相変わらず、いい腕前だね。いや、腕を上げたんじゃないか?」

「師匠にそう仰っていただけますと、頑張って皆と作った甲斐があります」

 太鼓判も頂けて、満悦至極。

 カレーとパンはすっかり皆の腹に収まり、本当は残りを一日寝かせたかったのに、鍋が空になってしまった。

「さあ、明日からビシバシ鍛えるからね。今のロイたちなら、あたしの上級特訓に耐えられるだろうさ。今日はゆっくり休みな」

 皆が別室で湯浴みしている間、調理器具と食器を洗う。俺は最後に湯をいただこう。

 明日から大変だな。みんな音を上げなきゃいいが。


 ◆ ◆ ◆


「みんな、よく一ヶ月頑張ったね。あたしが教えられることは、もうないよ。この先は、自力で切り開きな」

 修行の方はつつがなく終わり、皆で、師匠と兄貴の前に整列する。修行の光景など語っても、別に面白くないからな。それにしても全員、心なしか精悍な顔つきになった気がする。

「じゃあ、最後に修行の成果を見させておくれ」

「「はい!」」

 師匠の言葉に、皆、勢いよく応える。

「では、一番槍ロイ行きます! 雷王撃砕嘯ライトニング・イーガーァッ!!」

 雷衝撃滅波ライトニング・ウェイブとは比べ物にならない激しい雷光の波が、大岩を粉々に粉砕する。これだけの大魔法を使っても、まだ余力が残っていることに、己のパワーアップを実感する。

「では私も続きます!」

 続くナンシアが、淡く光る気オーラをまとった拳で、大木を真っ二つにへし折る。半獣化していなくても、この威力である。

「フランシスカ、行きますわ! 聖王曙光輪キング・ヘイロー!!」

 輝く巨大な光輪が、地面へと下降していく。ワイト王に放ったものと、そう変わったわけではないが、今度は、力尽きて昏倒するようなことはなかった。

「では、ぼくが攻撃するから、受け止めてみて欲しいのーだ、パティちゃん!」

「はい!」

 全長三メートル、体重三トン弱ある兄貴のチョップを、盾で受け止めきるパティ。

「じゃあ今度はオレ!」

「うむ、撒くぞ」

 師匠が大量の葉っぱをばら撒くと、サンがナイフですべて、目にも留まらぬ速さで斬り刻む。見事なナイフ捌きだ。

「最後は私ですね。超力賦活草エンハンス・パワー!」

 クコの腰のハーブホルダーが光り輝くと、力がみなぎってきた。他者の力を強化するという、単純明快にしてありがたい支援魔法だ。

 ちなみに、カレーの調合をヒントにしたのだとか。これ以外にも、彼女は強力な回復魔法を使えるようになっているが、現在誰も怪我をしていないので、見せ場はなし。

「よし! みんな強くなったね。教えた甲斐があるというもんだよ」

「「ありがとうございます!」」

 皆で、師匠に頭を下げる。

「今日は、ゆっくり休むといい。あとロイ、杖の件だけどね。国王への紹介状をしたためておいたから、彼に預けるといい」

「ありがとうございます......って、国王ですか!?」

 また、とんでもない上の方へ紹介されたもんだ。というか、ずいぶん顔が広いですね師匠......。

 国王への謁見とか、緊張するなあ。
シェア
← 前の話
第二十八話 魔導剣士ロイ、師匠を訪ねる ―後編―
次の話 →
第三十話 魔導剣士ロイ、国王に謁見する
女はAカップ以下の世界で! 冒険、観光、ウマいメシ!作者:みなはらつかさ
目次を見る
コメント0件
ログインしてコメントする
まだコメントがありません
ホーム›女はAカップ以下の世界で! 冒険、観光、ウマいメシ!›第二十九話 魔導剣士ロイ、カレーを振る舞う

第二十九話 魔導剣士ロイ、カレーを振る舞う

「おお、久しぶりだねえ、この匂い!」

 師匠が、嬉々として着席される。皆もそれに続いた。

「ロイさん、いい加減種明かししてくださいよ。これなんていう料理なんです?」

「ああ、勿体もったいつけたつもりはないのだけどね。カレーというスープ料理だよ。俺の異界知識にあった料理なんだ」

 クコの問いに答えながら、皆のボウルにスープをよそう。

「では、頂くとしようか」

 俺が着席したのを見て、師匠が音頭を取る。

「カラーイ! ウマーイ!」

 新たな味覚に、義妹いもうとは大騒ぎである。

「これは面白いですねえ。新しい調合に使えるかも知れません」

 クコも、感心することしきり。

「しかし、夏場にこれは汗が止まりませんね」

 手で、ぱたぱたと自分を扇ぐパティ。鎧の上から、効果があるのだろうか。

「それがいいんだよ。夏場には、辛いものがいいんだ」

 我ながら上出来だ。ほっこりしたじゃがいも、とろけるたまねぎと人参の甘み。それに辛味が一体となって口腔を刺激する。

 ナンシアの焼いてくれたパンが、またふかふかで芳こうばしく、柔らかな触感。ほのかな甘味がカレーの辛さにマッチする。パティじゃないけど汗だくだ。美味い! 辛い! 美味い! 辛い! それがいい、そこがいい。

「相変わらず、いい腕前だね。いや、腕を上げたんじゃないか?」

「師匠にそう仰っていただけますと、頑張って皆と作った甲斐があります」

 太鼓判も頂けて、満悦至極。

 カレーとパンはすっかり皆の腹に収まり、本当は残りを一日寝かせたかったのに、鍋が空になってしまった。

「さあ、明日からビシバシ鍛えるからね。今のロイたちなら、あたしの上級特訓に耐えられるだろうさ。今日はゆっくり休みな」

 皆が別室で湯浴みしている間、調理器具と食器を洗う。俺は最後に湯をいただこう。

 明日から大変だな。みんな音を上げなきゃいいが。


 ◆ ◆ ◆


「みんな、よく一ヶ月頑張ったね。あたしが教えられることは、もうないよ。この先は、自力で切り開きな」

 修行の方はつつがなく終わり、皆で、師匠と兄貴の前に整列する。修行の光景など語っても、別に面白くないからな。それにしても全員、心なしか精悍な顔つきになった気がする。

「じゃあ、最後に修行の成果を見させておくれ」

「「はい!」」

 師匠の言葉に、皆、勢いよく応える。

「では、一番槍ロイ行きます! 雷王撃砕嘯ライトニング・イーガーァッ!!」

 雷衝撃滅波ライトニング・ウェイブとは比べ物にならない激しい雷光の波が、大岩を粉々に粉砕する。これだけの大魔法を使っても、まだ余力が残っていることに、己のパワーアップを実感する。

「では私も続きます!」

 続くナンシアが、淡く光る気オーラをまとった拳で、大木を真っ二つにへし折る。半獣化していなくても、この威力である。

「フランシスカ、行きますわ! 聖王曙光輪キング・ヘイロー!!」

 輝く巨大な光輪が、地面へと下降していく。ワイト王に放ったものと、そう変わったわけではないが、今度は、力尽きて昏倒するようなことはなかった。

「では、ぼくが攻撃するから、受け止めてみて欲しいのーだ、パティちゃん!」

「はい!」

 全長三メートル、体重三トン弱ある兄貴のチョップを、盾で受け止めきるパティ。

「じゃあ今度はオレ!」

「うむ、撒くぞ」

 師匠が大量の葉っぱをばら撒くと、サンがナイフですべて、目にも留まらぬ速さで斬り刻む。見事なナイフ捌きだ。

「最後は私ですね。超力賦活草エンハンス・パワー!」

 クコの腰のハーブホルダーが光り輝くと、力がみなぎってきた。他者の力を強化するという、単純明快にしてありがたい支援魔法だ。

 ちなみに、カレーの調合をヒントにしたのだとか。これ以外にも、彼女は強力な回復魔法を使えるようになっているが、現在誰も怪我をしていないので、見せ場はなし。

「よし! みんな強くなったね。教えた甲斐があるというもんだよ」

「「ありがとうございます!」」

 皆で、師匠に頭を下げる。

「今日は、ゆっくり休むといい。あとロイ、杖の件だけどね。国王への紹介状をしたためておいたから、彼に預けるといい」

「ありがとうございます......って、国王ですか!?」

 また、とんでもない上の方へ紹介されたもんだ。というか、ずいぶん顔が広いですね師匠......。

 国王への謁見とか、緊張するなあ。
シェア
次の話第三十話 魔導剣士ロイ、国王に謁見する
女はAカップ以下の世界で! 冒険、観光、ウマいメシ!作者:みなはらつかさ
目次
コメント0件
ログインしてコメントする
まだコメントがありません