ホーム
作品を書く
作品を探す
ランキング
コミュニティー
コンテスト
ホーム
作品を書く
作品を探す
ランキング
コミュニティー
コンテスト
ホーム
›
恋を知らない僕らは、今日も隣にいる
›
三話 休日の実態
← 前の話
目次
栞
読書設定
三話 休日の実態
朝、目が覚める。
だが、寝る。
今日はバイトがない。
そんな日は静かに安らかに平和に!
寝るに限る。
平日。
隣の悪魔は大学へ行くだろう。
一人きりのキングダム。
さぁ、惰眠をむさぼろう。
・
昼になり、さすがに腹が減る。
健人は動き出した。
ボサボサの頭のまま、部屋着から外着......ラフな格好になると、外へ出る。
「あちぃ......」
さんさんと日差しが突き刺さる。
セミも鳴いている。
欠伸が吹き飛ぶ。
健人は近くの定食屋までふらりふらりと亡者のように歩き出した。
「おっちゃん、唐揚げ定食」
「あいよぉ」
十三時過ぎ、客も落ち着いていておっちゃんも休憩モードに入っていた。
そこへ
「おっちゃん、あたしチャーハン定食!」
「あいよぉ」
ドカッと隣に座る者がいる。
店内はガラガラなのにだ。
他人他人。
無視無視。
水を飲み、興味もない新聞を手に取る。
バサッと広げ、鉄壁の防御膜を張る。
「ちょっと!」
バサッ!
防御膜は消え去った。
ニコニコした京が目の前にいる。
「なんでいる」
「二、三限目がなくてさぁ。
また四限目に大学行くんだぁ」
「なんで帰ってくる」
「暇だから?」
片道一時間近く掛かるはずだ。
健人は諦めたようにため息をついた。
少しして
「ほい、唐揚げ定食にチャーハン定食」
おっちゃんが持ってくる。
「また、唐揚げ!
好きだねぇ!」
「うるせぇ。
黙って食え」
邪険に扱いながら、割り箸を割る。
秘伝の味付け塩を手に取り、唐揚げに降る。
これがたまらない。
「一個もぉらい!」
「あ、てんめ!」
掛けた瞬間に持って行かれた。
油断も隙もあったもんじゃない。
せっかくの唐揚げも残り五個。
やれやれだ。
黙々と食べていると、隣の動きが目にとまった。
手が止まっている。
皿を見ると、四分の三は食べている。
が、残りが入らないようだ。
確かに仕方がない。
ここは学生御用達。
元々の量が多い。
元テニス部。
かなり食べる方だったが、今は食べる量も減っていた。
「食ってやろうか?」
「健人......お願い」
チャーハンの残りが目の前に来る。
レンゲを手渡され、健人は京の頭を張った。
「おまえ!
ラー油だらけじゃねぇか!」
「えへ」
「えへじゃねぇ!」
その後、おっちゃんがギロリと睨んできたのは言うまでもない。
・
大学へ再び向かう京の背を見送り、健人は自室へ向かった。
その途中。
「あら、健人くん」
「あ、おばさん。
こんにちわ」
健人は頭を下げる。
「一人?
京は一緒じゃないの?」
おばさんはキョロキョロと周りを見渡す。
「あい......京は、大学ですよ」
「そうなの。
あの子、何か迷惑掛けてない?」
「め......いえ、大丈夫です」
「そう。
ごめんね、あの子昔から素直じゃないから......」
そう、京の母親にしてアパートの大家は言うと、買い物に出かけていった。
「ふぅ......本当に休みか?」
心労がひどい。
健人は部屋にはいるなり、布団に倒れ込んでいった。
・
夕方、さすがに寝過ぎだ。
食材もない。
買い出しに行かないといけない。
財布とエコバッグを持ち、健人は玄関へ向かう。
すると、ドタドタという音が聞こえる。
嫌な予感しかない。
が、いくしかない。
飯がない。
玄関を開ける。
すると、予想内と予想外があった。
予想内、京が目の前にいる。
予想外、何か袋を持っている。
これは?
「なんだ?」
「食材」
「ほう、狙いは?」
「本場風カルボナーラ食いたい!」
「しらん!」
「なんでぇぇ!」
京の絶叫に、四つ離れた部屋の玄関が空いた。
おじさんの一瞬の睨み。
そして引っ込んでいく。
「......」
「......」
「......」
「......ニヤ」
「ちっ、入れ」
健人はレシピを調べる。
見てみると、意外と簡単だ。
京に言って実家からボウルとチーズ削りを持ってこさせた。
さすがにチーズだけ買ってこられても、削り器がない。
ついでにあるであろうペッパーミルも強奪を指示。
その間に健人はベーコンを炒め、パスタをゆでる準備をしていた。
「もってきたよ~~」
「おう」
受け取り、ボウルに平飼い卵の黄身を三つ落とす。
白身は冷凍する。
さらにチーズを削ってボウルに投入。
ブラックペッパーもミルで砕き投入した。
ゆでたパスタをベーコンと和える。
和えるときは余熱で......最後にボウルに和えたパスタを投入。
完成。
座卓では、白ワインを用意した京がまだかまだかと、フォークとスプーンを持ち座っている。
「ほらよ」
「おぉぉぉぉぉぉぉ!
これこれ!
これを待っていたのじゃぁぁ!
苦しゅうない!
苦しゅうないぞぉぉぉ!」
五月蠅かった。
果てしなく五月蠅かった。
その顔を出来上がったパスタに沈めたかった......が、堪えた。
我慢我慢。
「いただきます」
「いっただきまぁぁす!」
パスタはおいしかった。
初めて作ったにしては満点ではないだろうか。
「さすが健人!
器用貧乏!」
「やかましい。
おまえが買ってきた食材が美味いだけだ」
「いやいや、健人様の愛を感じまするるる」
「ばかたれ」
京は幸せそうにパスタを頬張っていった。
健人は、ため息をつきながらそれを眺め、パスタを食べ白ワインを飲んでいった。
♡
シェア
← 前の話
二話 合宿
最新話です
目次に戻る
恋を知らない僕らは、今日も隣にいる
作者:源蔵@ にー7 文フリ大阪 頑固一徹堂
目次を見る
✍️
まだ感想がありません
あなたの一言が、作者の次の一話につながります。
最初の感想を書いてみませんか?
コメント
0件
ログインしてコメントする
まだコメントがありません
ホーム
›
恋を知らない僕らは、今日も隣にいる
›
三話 休日の実態
← 前の話
目次
栞
読書設定
三話 休日の実態
朝、目が覚める。
だが、寝る。
今日はバイトがない。
そんな日は静かに安らかに平和に!
寝るに限る。
平日。
隣の悪魔は大学へ行くだろう。
一人きりのキングダム。
さぁ、惰眠をむさぼろう。
・
昼になり、さすがに腹が減る。
健人は動き出した。
ボサボサの頭のまま、部屋着から外着......ラフな格好になると、外へ出る。
「あちぃ......」
さんさんと日差しが突き刺さる。
セミも鳴いている。
欠伸が吹き飛ぶ。
健人は近くの定食屋までふらりふらりと亡者のように歩き出した。
「おっちゃん、唐揚げ定食」
「あいよぉ」
十三時過ぎ、客も落ち着いていておっちゃんも休憩モードに入っていた。
そこへ
「おっちゃん、あたしチャーハン定食!」
「あいよぉ」
ドカッと隣に座る者がいる。
店内はガラガラなのにだ。
他人他人。
無視無視。
水を飲み、興味もない新聞を手に取る。
バサッと広げ、鉄壁の防御膜を張る。
「ちょっと!」
バサッ!
防御膜は消え去った。
ニコニコした京が目の前にいる。
「なんでいる」
「二、三限目がなくてさぁ。
また四限目に大学行くんだぁ」
「なんで帰ってくる」
「暇だから?」
片道一時間近く掛かるはずだ。
健人は諦めたようにため息をついた。
少しして
「ほい、唐揚げ定食にチャーハン定食」
おっちゃんが持ってくる。
「また、唐揚げ!
好きだねぇ!」
「うるせぇ。
黙って食え」
邪険に扱いながら、割り箸を割る。
秘伝の味付け塩を手に取り、唐揚げに降る。
これがたまらない。
「一個もぉらい!」
「あ、てんめ!」
掛けた瞬間に持って行かれた。
油断も隙もあったもんじゃない。
せっかくの唐揚げも残り五個。
やれやれだ。
黙々と食べていると、隣の動きが目にとまった。
手が止まっている。
皿を見ると、四分の三は食べている。
が、残りが入らないようだ。
確かに仕方がない。
ここは学生御用達。
元々の量が多い。
元テニス部。
かなり食べる方だったが、今は食べる量も減っていた。
「食ってやろうか?」
「健人......お願い」
チャーハンの残りが目の前に来る。
レンゲを手渡され、健人は京の頭を張った。
「おまえ!
ラー油だらけじゃねぇか!」
「えへ」
「えへじゃねぇ!」
その後、おっちゃんがギロリと睨んできたのは言うまでもない。
・
大学へ再び向かう京の背を見送り、健人は自室へ向かった。
その途中。
「あら、健人くん」
「あ、おばさん。
こんにちわ」
健人は頭を下げる。
「一人?
京は一緒じゃないの?」
おばさんはキョロキョロと周りを見渡す。
「あい......京は、大学ですよ」
「そうなの。
あの子、何か迷惑掛けてない?」
「め......いえ、大丈夫です」
「そう。
ごめんね、あの子昔から素直じゃないから......」
そう、京の母親にしてアパートの大家は言うと、買い物に出かけていった。
「ふぅ......本当に休みか?」
心労がひどい。
健人は部屋にはいるなり、布団に倒れ込んでいった。
・
夕方、さすがに寝過ぎだ。
食材もない。
買い出しに行かないといけない。
財布とエコバッグを持ち、健人は玄関へ向かう。
すると、ドタドタという音が聞こえる。
嫌な予感しかない。
が、いくしかない。
飯がない。
玄関を開ける。
すると、予想内と予想外があった。
予想内、京が目の前にいる。
予想外、何か袋を持っている。
これは?
「なんだ?」
「食材」
「ほう、狙いは?」
「本場風カルボナーラ食いたい!」
「しらん!」
「なんでぇぇ!」
京の絶叫に、四つ離れた部屋の玄関が空いた。
おじさんの一瞬の睨み。
そして引っ込んでいく。
「......」
「......」
「......」
「......ニヤ」
「ちっ、入れ」
健人はレシピを調べる。
見てみると、意外と簡単だ。
京に言って実家からボウルとチーズ削りを持ってこさせた。
さすがにチーズだけ買ってこられても、削り器がない。
ついでにあるであろうペッパーミルも強奪を指示。
その間に健人はベーコンを炒め、パスタをゆでる準備をしていた。
「もってきたよ~~」
「おう」
受け取り、ボウルに平飼い卵の黄身を三つ落とす。
白身は冷凍する。
さらにチーズを削ってボウルに投入。
ブラックペッパーもミルで砕き投入した。
ゆでたパスタをベーコンと和える。
和えるときは余熱で......最後にボウルに和えたパスタを投入。
完成。
座卓では、白ワインを用意した京がまだかまだかと、フォークとスプーンを持ち座っている。
「ほらよ」
「おぉぉぉぉぉぉぉ!
これこれ!
これを待っていたのじゃぁぁ!
苦しゅうない!
苦しゅうないぞぉぉぉ!」
五月蠅かった。
果てしなく五月蠅かった。
その顔を出来上がったパスタに沈めたかった......が、堪えた。
我慢我慢。
「いただきます」
「いっただきまぁぁす!」
パスタはおいしかった。
初めて作ったにしては満点ではないだろうか。
「さすが健人!
器用貧乏!」
「やかましい。
おまえが買ってきた食材が美味いだけだ」
「いやいや、健人様の愛を感じまするるる」
「ばかたれ」
京は幸せそうにパスタを頬張っていった。
健人は、ため息をつきながらそれを眺め、パスタを食べ白ワインを飲んでいった。
♡
シェア
← 前の話
二話 合宿
最新話です
目次に戻る
恋を知らない僕らは、今日も隣にいる
作者:源蔵@ にー7 文フリ大阪 頑固一徹堂
目次
✍️
まだ感想がありません
あなたの一言が、作者の次の一話につながります。
最初の感想を書いてみませんか?
コメント
0件
ログインしてコメントする
まだコメントがありません
ホーム
作品を書く
作品を探す
ランキング
コミュニティー
コンテスト
0
この本を読む →