2025年7月18日 鹿原真理
2025年7月18日
見えない誰かさんへ
今日はとても怖いところを見てしまいました。そのショックで夜ごはんが食べられませんでした。
5時間目と6時間目が図工の時間で、わたしたちは糸のこぎりを使っていました。糸のこぎりを使って好きな形に切った気の板を、くぎとトンカチでくっつけ、小さい家を作る工作です。
本当はやりたくありませんでした。糸のこぎりを使って、怪我でもしたらどうしようと思ってしまうからです。
何とか糸のこぎりで切りたいものを切って、自分のテーブルでくぎを打っているときでした。
糸のこぎりの方から、今までに聞いたことのない悲鳴がたくさん聞こえてきました。
叫んでいたのは、何人もの女の子たちでした。うずくまって泣いていたり、口に両手を当てて立ったまま固まっている子もいました。
ブウウウウンと音を立てて動き続ける糸のこぎりの前、立花さんがいました。右手を左手で抑えながら、お腹を折るようにしてうなっていました。
その足元には真っ赤な血の池ができていました。
「病院だ! 救急車だ!」
黒板の前、先生があわてた声で叫び、図工室から出て行きました。
図工の時間は中止になり、立花さんは救急車で病院に運ばれました。ショックを受けた立花さんの友だちの子たちも、何人か運ばれていきました。
かえりの会が始まる前、何が起きたか見ていた子たちがひそひそと話をしていました。
立花さんの右手の人指し指はすっぱり切れてしまうギリギリまで切れていたそうです。先生からこっそり聞いた話によると、指を治すために大変な手じゅつをしないといけないかもしれないとか。
こんなことを言っている子もいました。
「糸のこぎりを使ってるときの弓香さ、前の方につんのめってなかった?」
「わかる、誰かに背中を押されたみたいに見えたよね。弓香本人もつんのめるときに、わあって叫んでさ」
「それであんなことになったんだよね。なんかやばくない?」
糸のこぎりを使っていた立花さんのせ中をおした人なんていたのでしょうか? でも、いるとしたら大さわぎになっているんじゃないでしょうか?
あの子たちが言っていたことが不思議でならないです。
正直に言ってしまうと立花さんのことは好きじゃありませんが、無事にもどってきてほしいです。
今日も暗い話ばかりになってしまいました。
わたしの毎日はどうしていつも暗いことばかりなんでしょうか?
毎日生きるのがいやになってしまいます。
鹿原真理