ホーム›麻雀食堂›第一話 愛情たっぷり、麻雀オムライス
← 次の話目次前の話 →

第一話 愛情たっぷり、麻雀オムライス


ここまでのあらすじ

 ごく普通のサラリーマンである乾春人はある日昼食をとるために適当に定食屋に入るとそこには美人な店主と麻雀卓があった。そこでは皆が家族のように集まり食事と麻雀を楽しむのだった。
 その店の名は『あやの食堂』、別名『麻雀食堂』。


【登場人物紹介】

乾春人
いぬいはると

 主人公。ごく普通の会社員。ひょんなことから麻雀をやるようになる。ゲームの才能はピカイチだが、麻雀はまだまだ素人な26歳。


髙橋彩乃
たかはしあやの

 あやの食堂の店主。基本的に1人で店を回している。得意料理は唐揚げ。その抜群に美味い料理と彩乃の美しさに惹かれてか田舎の町はずれにある定食屋にもかかわらず一定数の来客が必ずある。


メタ
めた

 正体不明の中年。乾に親切にしてくれて麻雀も優しく教えてくれる良い人。麻雀の腕は達者なようだが、その実力はまだよく分かっていない。
 瓶ビールと冷奴が好き。


犬飼真希
いぬかいまき

 乾によくしてくれる吊り目の美人。かなり若く見えるが年齢は45歳。「30歳くらいに見える」とお世辞じゃなく本音で言ってくれた乾をとても気に入って連絡先を交換する。麻雀は達者だが麻雀を教えるのは苦手。


寒沢司
かんざわつかさ

 カンの愛称で親しまれる若者。直感が優れており、そう簡単には放銃しない。あやの食堂の唐揚げ定食が大好き。


◆◇◆◇

 今日は仕事でやたら理不尽に怒られた。こんな日はまっすぐ帰宅したくない。このまま家に帰ってもモヤモヤが晴れないから寝られないのだ。
 なにか、気分を晴らしてくれるものはないか。考えるまでもなかった。俺には麻雀食堂がある。
 普通のサラリーマンならここで酒を飲んだりするんだろうが、俺には酒よりあやのさんの作る唐揚げやメタさんたちとやる麻雀の方がよっぽど心の癒やしになる。

ガラガラガラ

「こんばんは」
「あら、イヌイさん。こんな時間に珍しいじゃない」
「ちょっと仕事で嫌なことあってさ。美味しいものでも食べないとやってらんないな......と」
「そっか、お疲れ様。じゃあ私特製のオムライスでも作ってあげようか。当店の大人気メニューよ」
「へえ、じゃあそれを1つお願いしようかな」
「毎度! ところでイヌイさんは好きな牌とかありますか? ①筒が好きとか、東が好きとか」
「えっ、好きな牌かー。『白』かな、シンプルで」
「白は禁止! 他ので」
「えっ、白は禁止? じゃあ『中』。日本の国旗みたいなデザインで良いじゃん。あれが好きだな」
「それならオッケーです! 中ね。了解了解!」

 そう言うと厨房の方へと移動してあやのさんは料理を作り始めた。
 彼女はあっという間に片手で卵を割った。その手際たるや、さすがは料理人である。1人で店を回しているだけはある。
 俺はケータイをいじりながら水を飲んでた。今日の理不尽なことをSNSで吐き出したいと思ったのでポチポチ打ち込んでいたのだ。少ないフォロワー数ではあるが、そのみんなから共感の声があり、少し溜飲が下がる。

「はいお待たせ! 当店自慢の『麻雀オムライス!』完成よ!」

 それはケチャップで『中』と書かれた巨大なオムライスだった。なるほど、こりゃあ『白』ってわけにゃあいかないよな。
「これ、SNSで投稿していい?」
「もちろんよ! 愛情たっぷり込めた自信作だもの。バズるわよー。あ、ちゃんと縦向きにして撮ってね」

パシャ

 色の濃い木製のテーブルなので湯気もしっかり見える。かなり良い感じの写真が撮れた。
「よし、いい感じに撮れた。それじゃ、いただきます!」
「召し上がれ♡」

 パクッ。
 モグモグモグ。

「うま!」

 めちゃめちゃうまい。ふっくらした玉子といい、チキンライスの味といい。俺の知ってるオムライスとは違う。これが料理人の作るオムライスか!!

 ガツガツガツと食べる手が止まらない。大きいと思ったのに気付くと完食していた。
「すごく美味しかったよ。ごちそうさま」
「ふふ、ありがと」

 その美味しかった感想を語りたくて。思わず写真と一緒に長文も投稿した。
 するとそのオムライスは彼女の言う通りけっこうなバズりをみせて俺はちょっと満足できたのだった。
シェア
前の話 →
第九話 手順1つで味は変わる
← 次の話
第二話 着痩せ
麻雀食堂作者:彼方
目次を見る
コメント0件
ログインしてコメントする
まだコメントがありません
ホーム›麻雀食堂›第一話 愛情たっぷり、麻雀オムライス
← 前の話目次次の話 →

第一話 愛情たっぷり、麻雀オムライス


ここまでのあらすじ

 ごく普通のサラリーマンである乾春人はある日昼食をとるために適当に定食屋に入るとそこには美人な店主と麻雀卓があった。そこでは皆が家族のように集まり食事と麻雀を楽しむのだった。
 その店の名は『あやの食堂』、別名『麻雀食堂』。


【登場人物紹介】

乾春人
いぬいはると

 主人公。ごく普通の会社員。ひょんなことから麻雀をやるようになる。ゲームの才能はピカイチだが、麻雀はまだまだ素人な26歳。


髙橋彩乃
たかはしあやの

 あやの食堂の店主。基本的に1人で店を回している。得意料理は唐揚げ。その抜群に美味い料理と彩乃の美しさに惹かれてか田舎の町はずれにある定食屋にもかかわらず一定数の来客が必ずある。


メタ
めた

 正体不明の中年。乾に親切にしてくれて麻雀も優しく教えてくれる良い人。麻雀の腕は達者なようだが、その実力はまだよく分かっていない。
 瓶ビールと冷奴が好き。


犬飼真希
いぬかいまき

 乾によくしてくれる吊り目の美人。かなり若く見えるが年齢は45歳。「30歳くらいに見える」とお世辞じゃなく本音で言ってくれた乾をとても気に入って連絡先を交換する。麻雀は達者だが麻雀を教えるのは苦手。


寒沢司
かんざわつかさ

 カンの愛称で親しまれる若者。直感が優れており、そう簡単には放銃しない。あやの食堂の唐揚げ定食が大好き。


◆◇◆◇

 今日は仕事でやたら理不尽に怒られた。こんな日はまっすぐ帰宅したくない。このまま家に帰ってもモヤモヤが晴れないから寝られないのだ。
 なにか、気分を晴らしてくれるものはないか。考えるまでもなかった。俺には麻雀食堂がある。
 普通のサラリーマンならここで酒を飲んだりするんだろうが、俺には酒よりあやのさんの作る唐揚げやメタさんたちとやる麻雀の方がよっぽど心の癒やしになる。

ガラガラガラ

「こんばんは」
「あら、イヌイさん。こんな時間に珍しいじゃない」
「ちょっと仕事で嫌なことあってさ。美味しいものでも食べないとやってらんないな......と」
「そっか、お疲れ様。じゃあ私特製のオムライスでも作ってあげようか。当店の大人気メニューよ」
「へえ、じゃあそれを1つお願いしようかな」
「毎度! ところでイヌイさんは好きな牌とかありますか? ①筒が好きとか、東が好きとか」
「えっ、好きな牌かー。『白』かな、シンプルで」
「白は禁止! 他ので」
「えっ、白は禁止? じゃあ『中』。日本の国旗みたいなデザインで良いじゃん。あれが好きだな」
「それならオッケーです! 中ね。了解了解!」

 そう言うと厨房の方へと移動してあやのさんは料理を作り始めた。
 彼女はあっという間に片手で卵を割った。その手際たるや、さすがは料理人である。1人で店を回しているだけはある。
 俺はケータイをいじりながら水を飲んでた。今日の理不尽なことをSNSで吐き出したいと思ったのでポチポチ打ち込んでいたのだ。少ないフォロワー数ではあるが、そのみんなから共感の声があり、少し溜飲が下がる。

「はいお待たせ! 当店自慢の『麻雀オムライス!』完成よ!」

 それはケチャップで『中』と書かれた巨大なオムライスだった。なるほど、こりゃあ『白』ってわけにゃあいかないよな。
「これ、SNSで投稿していい?」
「もちろんよ! 愛情たっぷり込めた自信作だもの。バズるわよー。あ、ちゃんと縦向きにして撮ってね」

パシャ

 色の濃い木製のテーブルなので湯気もしっかり見える。かなり良い感じの写真が撮れた。
「よし、いい感じに撮れた。それじゃ、いただきます!」
「召し上がれ♡」

 パクッ。
 モグモグモグ。

「うま!」

 めちゃめちゃうまい。ふっくらした玉子といい、チキンライスの味といい。俺の知ってるオムライスとは違う。これが料理人の作るオムライスか!!

 ガツガツガツと食べる手が止まらない。大きいと思ったのに気付くと完食していた。
「すごく美味しかったよ。ごちそうさま」
「ふふ、ありがと」

 その美味しかった感想を語りたくて。思わず写真と一緒に長文も投稿した。
 するとそのオムライスは彼女の言う通りけっこうなバズりをみせて俺はちょっと満足できたのだった。
シェア
← 前の話
第九話 手順1つで味は変わる
次の話 →
第二話 着痩せ
麻雀食堂作者:彼方
目次
コメント0件
ログインしてコメントする
まだコメントがありません