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第八話 美咲の勘違い


 小さな商店街をぐるっと一通り回って本屋さんに寄ったりしてるうちにお昼ご飯の時間になってきた。

「そろそろ行こうか。美咲もお腹すいてきたろ?」
「うん、あっちこっち歩き回ってもう今日は充分運動したしね。(自分的には)」
 この程度で充分の運動だと言ってしまうあたり俺の妹だなと思った。運動神経はいい方なのに美咲は本当に運動嫌いだ。

「何食べる? 俺のオススメは唐揚げか油淋鶏だな」
「まずはメニュー見てから決めるわよ。でも、油淋鶏あるのいいな。私、油淋鶏は大好きなの知ってた?」
「初耳だ」
「でしょ、だってつい最近初めて食べて好きになったばかりだから」

 そういや油淋鶏なんて家で出たりはしないもんな。どこの家庭も唐揚げは出ても油淋鶏は出ないだろ?

 そんな話をしてると遠くにあやの食堂が見えてきた。

「あ、あれだ。あのずっと先のカーブの手前にある店。あれが今日の目的地」
「あの、右にあるのぼりが出てる店? 『あやの食堂』って書いてある?」
「そうそう お前、目いいなあ」
「両目とも2.0」
「すげぇな」
「お兄ちゃんはなんであんな遠くまで食べに行こうと思ったの?」
「え、なんでだろうな。仕事でこの辺まで来てて、ここから暖簾とのぼりが見えたから? この辺ほかにメシ屋が見当たらないだろ。まあ、駅のほうに
戻ればあるのはわかってたけど、せっかくここまで来たなら駅前のチェーン店行くよりもここだけの個人店に入ってみたくてな。ま、だから要するにたまたまだよ」
「ふうん。そんで、休日にまでわざわざ行くほど気に入ったんだ。良かったね、そんな店を発見できて」
「そうだな」

ガラガラガラ

「こんにちは。今日は2人なんだ。テーブル席いいかな」
「あっ、イヌイさんこんにちは! そちらは妹さんね、そっくりだわ〜、かわいいわねぇ。そこのテーブル席へどうぞ~」
「あっ、どうもはじめまして......」

 そう言うと美咲がジロリと俺の顔を見てきた。さも、あんたこの綺麗な女が目当てで来てるんでしょう! このスケベ! バカ! 変態! と言わんばかりのジト目だ。違う、断じて違うぞ妹よ! という意味で俺は首を横に振った。すると

ガラガラガラ

「やっほー。今日ひまだから昼間から飲みに来てやったぞー」とゴキゲンで犬飼真希が登場した。またややこしいことになったぞ。

「あっ、イヌイくんじゃんか! こっちは妹ちゃんか! かわいいな」

 俺と妹は顔がすごく似てるので妹であることを誰かに説明したことはない。
「こっ、こんにちは」

「イヌイくんさぁ、来てるなら連絡してちょーだいよ。独身のお姉さんはいつでもイヌイくんからの連絡待ちしてんだからさあ♡」
(こいつはもう来る前に1杯ひっかけてるな......)

 妹のジト目がさっきよりひどくなる。連絡先まで交換しちゃって! こっちが本命ってこと? やっぱり女に会いに来てるんじゃない! と顔が言っている。違うんだ、妹よ。

「とりあえず、メシにしよう。な、美咲」
「ふーんだ。知らない」

 美咲の勘違いが始まった。めんどくせえなあ、もう。
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麻雀食堂作者:彼方
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 小さな商店街をぐるっと一通り回って本屋さんに寄ったりしてるうちにお昼ご飯の時間になってきた。

「そろそろ行こうか。美咲もお腹すいてきたろ?」
「うん、あっちこっち歩き回ってもう今日は充分運動したしね。(自分的には)」
 この程度で充分の運動だと言ってしまうあたり俺の妹だなと思った。運動神経はいい方なのに美咲は本当に運動嫌いだ。

「何食べる? 俺のオススメは唐揚げか油淋鶏だな」
「まずはメニュー見てから決めるわよ。でも、油淋鶏あるのいいな。私、油淋鶏は大好きなの知ってた?」
「初耳だ」
「でしょ、だってつい最近初めて食べて好きになったばかりだから」

 そういや油淋鶏なんて家で出たりはしないもんな。どこの家庭も唐揚げは出ても油淋鶏は出ないだろ?

 そんな話をしてると遠くにあやの食堂が見えてきた。

「あ、あれだ。あのずっと先のカーブの手前にある店。あれが今日の目的地」
「あの、右にあるのぼりが出てる店? 『あやの食堂』って書いてある?」
「そうそう お前、目いいなあ」
「両目とも2.0」
「すげぇな」
「お兄ちゃんはなんであんな遠くまで食べに行こうと思ったの?」
「え、なんでだろうな。仕事でこの辺まで来てて、ここから暖簾とのぼりが見えたから? この辺ほかにメシ屋が見当たらないだろ。まあ、駅のほうに
戻ればあるのはわかってたけど、せっかくここまで来たなら駅前のチェーン店行くよりもここだけの個人店に入ってみたくてな。ま、だから要するにたまたまだよ」
「ふうん。そんで、休日にまでわざわざ行くほど気に入ったんだ。良かったね、そんな店を発見できて」
「そうだな」

ガラガラガラ

「こんにちは。今日は2人なんだ。テーブル席いいかな」
「あっ、イヌイさんこんにちは! そちらは妹さんね、そっくりだわ〜、かわいいわねぇ。そこのテーブル席へどうぞ~」
「あっ、どうもはじめまして......」

 そう言うと美咲がジロリと俺の顔を見てきた。さも、あんたこの綺麗な女が目当てで来てるんでしょう! このスケベ! バカ! 変態! と言わんばかりのジト目だ。違う、断じて違うぞ妹よ! という意味で俺は首を横に振った。すると

ガラガラガラ

「やっほー。今日ひまだから昼間から飲みに来てやったぞー」とゴキゲンで犬飼真希が登場した。またややこしいことになったぞ。

「あっ、イヌイくんじゃんか! こっちは妹ちゃんか! かわいいな」

 俺と妹は顔がすごく似てるので妹であることを誰かに説明したことはない。
「こっ、こんにちは」

「イヌイくんさぁ、来てるなら連絡してちょーだいよ。独身のお姉さんはいつでもイヌイくんからの連絡待ちしてんだからさあ♡」
(こいつはもう来る前に1杯ひっかけてるな......)

 妹のジト目がさっきよりひどくなる。連絡先まで交換しちゃって! こっちが本命ってこと? やっぱり女に会いに来てるんじゃない! と顔が言っている。違うんだ、妹よ。

「とりあえず、メシにしよう。な、美咲」
「ふーんだ。知らない」

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