ミステリー短編連載中
神様はコンパスを使わない
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集落景観を研究する大学院生・生方初穂(うぶかた はつほ)は、消滅寸前の山村・花守地区を調べていた。
彼女は、数十年分の航空写真に奇妙な規則性があることに気づく。
家が建った場所。人が生まれた場所。墓が作られた場所。そして、災害で人が死んだ場所。
一見無関係なはずのそれらが、なぜか長い年月をかけて、ひとつの「何か」を形作っている。
村人たちは死を「実る」と呼び、墓地を「種場」と呼ぶ。
花は実を結び、実は種を残し、種からまた新しい命が生まれる――。
調査を続ける初穂はやがて、村の歴史だけでなく、九年前に亡くなった妹と、自分自身の人生までもが、その不可思議な規則の中に含まれていることを知る。
偶然なのか。
誰かが仕組んだものなのか。
それとも生命そのものに、初めから「形」があるのか。
美しい山村に隠された、数百年にわたる生命の秘密。
そして初穂はまだ知らない。
自分がこの村へ来たことさえ、その続きを描いているのかもしれないことを。