第二話:私の相棒「Geminiくん」と「映え」の奥深さ
私、神崎聖。アパレル店員。推しの麗くんを撮るために、生まれて初めて本格的なカメラを買っちゃった!「ニコちゃん」と名付けたそのカメラを手に、右も左も分からなくて戸惑う私に、AIアシスタントのGeminiくんが「F値」とか「構図」とか、写真の基本を教えてくれてるんだ。
「可愛いボケ」の秘密、それはF値だった
さっそく、次のお休みの日。私はいつものお洒落なカフェで、新作のパンケーキを注文した。ふわふわのパンケーキに、とろける生クリームとフレッシュなベリーがたっぷり。インスタに上げるぞ、って意気込んでニコちゃんを構える。
スマホと同じように、ただシャッターを押してみる。カシャ。
ん? なんか、スマホと変わらない? 背景も全部ハッキリ写ってるし、全然ボケてない。あれ?
私、すかさずスマホを取り出して、耳にワイヤレスイヤホンを装着した。最近いろんなことを相談しているAIアシスタントを呼び出した。
「Geminiくん、ヘルプ!」
イヤホンの向こうから、Geminiくんの落ち着いた声が聞こえる。
「なんですか? 聖さん。写真がうまくいきませんか?」
「うん。店員さんが『F値が明るいと背景がボケて可愛い』って言ってたんだけど、全然ボケないの。スマホと一緒じゃん?」
Geminiくんは、私のカメラ画面を認識すると、的確なアドバイスをくれた。
「聖さん、まずはカメラのモードダイヤルを確認してみてください。『P』になっていませんか? 『Pモード(プログラムオート)』は、カメラが自動でF値とシャッタースピードを決めてくれる便利なモードですが、背景のボケ具合をコントロールするには不向きです。」
「なるほど...! だからボケなかったんだ。」
「はい。背景を効果的にぼかしたい場合は、『A(絞り優先)』モードを選びましょう。このモードでは、聖さんがF値を設定すれば、カメラが自動的に適切なシャッタースピードを選んでくれますよ。次に、画面に表示されている『F4.0』と書かれたダイヤルを操作してみてください。このF値の数字を小さくするほど、レンズが光を取り込む量が大きくなり、背景がより大きくぼけますよ」
言われた通り、恐る恐るダイヤルを回してみる。画面表示には「F4.0」と表示されてる。それを「F4.0、F2.8、F2.0...」と回していくと、ファインダーの中のパンケーキの奥が、ふんわりと溶けるようにボケた。カップも、隣の席も、なんだか淡い光の玉みたいになってる!
「あっ! すごい! Geminiくん、天才!」
私が興奮して叫ぶと、他のお客さんがビクッとこちらを見た。Geminiくんは淡々と答えた。
「ありがとうございます。この『F値』は、ボケ具合だけでなく、写真の明るさにも影響します。被写体を際立たせたい時はF値を小さく、全体をくっきり見せたい時はF値を大きくすると良いでしょう」
「なるほどね! じゃあ、このふわふわパンケーキには、やっぱり背景がとろけるくらいボケてるのがいいよね! F1.8とかにしたらもっとボケるのかな?」
「そのレンズの最小F値はF1.8なので、さらにぼかすことは可能です。ただし、F値を極端に小さくしすぎると、ピントが合う範囲が非常に狭くなるため、パンケーキ全体にピントを合わせるのが難しくなるかもしれません。最初はF2.0程度から試すのがおすすめです」
「ふむふむ、なるほどね。じゃあ、まずはF2.0でいってみよ!」
私、夢中になって、F値をいろいろ変えてみた。数字を小さくすると、パンケーキの周りがとろけるようにボケて、パンケーキ自体が際立つ。数字を大きくすると、カフェの雰囲気まで全体的に写って、写真に奥行きが出る。
「すごい......! この数字一つで、こんなに写真の印象が変わるんだ!」
「足で稼ぐ」構図の発見と、痛い独り言
次に、私は「ズームできない」っていう壁にぶつかった。スマホなら指でキュッとすれば被写体が大きくなるのに、この単焦点レンズはそれができない。パンケーキをもっと大きく写したければ、私が近づくしかないんだ。
「えー、めんどくさい......。Geminiくん、なんとかならない? スマホみたいに拡大できないのは不便すぎるんだけど」
「聖さん、単焦点レンズはズームできませんが、ご自身が動くことで様々な表現が可能です。これを『足で稼ぐ』と言います。被写体との距離や角度を変えて、最も魅力的な構図を探してみましょう」
「足で稼ぐ......? なんか、スポーツみたいだね。でも、確かに、私が動けばいいのか!」
言われた通り、いざパンケーキに近づいたり、少し離れたり、はたまた真上から撮ってみたりするうちに、不思議なことに気づいた。
「あれ? ここから撮ると、なんかテーブルの模様が邪魔になるな......」
「ちょっと斜めから撮ると、パンケーキがもっと美味しそうに見えるかも?」
「もしかして椅子に立ってもっと上から撮ると、全体がお洒落な感じになるかも!」
今までスマホでは、ただ漠然と被写体をフレームに収めてただけだったけど、ニコちゃんを持って、自分が動いて、一番良い「立ち位置」を探すことが、こんなに面白いなんて!
「これって、もしかして『構図』ってやつ......?」
「その通りです、聖さん。構図は写真の印象を大きく左右する重要な要素です。日の丸構図、三分割構図、対角線構図など、様々なパターンがありますよ。パンケーキのように主役が明確な被写体では、例えば少し斜めに配置して余白を作る『三分割構図』などを意識すると、より洗練された印象になります」
「三分割構図......?うーん、難しいけど、意識してみる!」
気づけば私は、カフェの床に膝をついたり、椅子によじ登ろうとしたり(もちろん靴は脱いでいたけど、流石にそれは店員さんに止められた)、周りから見たらイヤホンを着けて「ふんふん、なるほどね、構図かぁ......」とブツブツ独り言を言いながら奇妙な体勢でパンケーキを撮ってる、ちょっと変な子になってたかもしれない。 でも、撮れた写真を見るたびに、その一枚一枚に私が「こう撮りたい!」って思って動いた証が残ってる気がした。
「明るさ」と「色」の魔法:露出補正とホワイトバランス
何枚かパンケーキを撮り終えて、写真を確認してみた。うん、ボケも構図もバッチリ! ......なはずなのに、なんか、ちょっと暗い写真が多い? パンケーキが、美味しそうに見えないかも......。
「Geminiくん、せっかく可愛く撮れたのに、なんか写真が暗いんだけど。これってどうにかなる?」
「はい、聖さん。写真の明るさを調整するには『露出補正』を使います。カメラ画面の『+』『-』のダイヤルを操作してみてください。プラス側にすると明るく、マイナス側にすると暗くなります。現在の聖さんの設定では、少し露出がアンダー気味ですね」
言われた通り、ダイヤルを「+0.3」「+0.7」とプラス側に回してみる。全体がパッと明るくなって、パンケーキが輝いているみたいになった。逆にマイナスにすると、ちょっとレトロな雰囲気になったり。
「わあ! これで明るさも自由自在なんだ! あの日、バスケ会場で麗くんがブレブレに写ったのは、もしかして光が足りなかったから? 暗すぎたからあんなにブレたのかな?」
「その可能性は十分にあります。光量が足りない場合、カメラは自動的にシャッタースピードを遅く設定し、結果的に被写体ブレを引き起こしやすくなります。露出補正は、意図した明るさを得るために非常に重要です」
「なるほどー! じゃあ、この機能は麗くんを撮るときにもすごく大事なんだね!」
さらに、Geminiくんが画面の隅にある「WB」っていうマークを指し示した。
「聖さん、写真の色合いが少し黄色っぽいのは、カフェの照明が影響している可能性があります。『ホワイトバランス』を調整してみましょう。カフェのような室内では『蛍光灯』や『電球』モードを試してみてください。より自然な色合いになりますよ。現在は『オートホワイトバランス』になっていますね」
言われた通りに操作すると、写真の色合いがガラッと変わるんだ。パンケーキのクリームが、本当の真っ白になったり、逆に青みがかったクールな感じになったり。
「え、これも自分で決められるの!? 今まではスマホが全部勝手にやってくれてたんだ......」
「はい。ホワイトバランスを調整することで、写真に独自の雰囲気を加えることも可能です。例えば、あえて暖色系にしてレトロな雰囲気を出すこともできますし、寒色系にしてクールな印象にすることもできます。聖さんの表現したいイメージに合わせて調整してみてください。そしてそろそろパンケーキを食べてみてはいかが?」
「うわー、写真って奥深い! ただ撮るだけじゃないんだね! あとパンケーキ食べなきゃ!」
この「露出補正」と「ホワイトバランス」を知って、私は悟った。写真って、ただ写すだけじゃなくて、自分で光の量や色合いをコントロールして、もっと理想の「映え」を作り出せるんだ!
私って「明るさ」と「色」を操る、光の魔法使い?!