本編
ついに俺も高校生になった。
そしたら周りは恋愛なんかにかまけだした。
恋愛なんかにかまけだした。
大事なことなので二回言ってやった。
俺だってまた恋したいよ。でもな、俺は。まだ引きずってんだよ。
同調圧力に負けて結んだ契りを千切ったことを。
俺は本音から逃げた。本当は好きだったのに、周りの視線に負けて嘘を吐いた。
『嘘の関係いつまで続けんだよー』
その一言で帳が落ちた気がして俺が勝手に関係を終わらせた。
それが中学唯一の罪。
俺が幼少期に読んだ裸の王様に出てくる純真な子供のようになれていたら、悲しませずに済んだかもしれない。
あの日が夢なら良かったのにと何度願ったことか。
何度夢に出てきたか。悪夢。後悔。懺悔。
あんな悲しい顔をみるなんて思ってなかったや。
ああ、あの頃は楽しかったな。
同調圧力に負けてはじまった関係とはいえ、そこにはちゃんと愛があった。はずで。
もう一度戻っていいなら戻ってやり直したい。“ごめんなさい”からまた始めたい。
俺のことどう思っていますか、嫌いかな。嫌いよな。
ごめんな、両片思い。
“ピロリン”
通知音とともに青白くディスプレイが光った。
「え!?」
俺はディスプレイを見て驚いた。
『風華:龍弥、久しぶり』
八沢風華、俺が悲しませた相手。
俺はどう返したらいいか悩んだ。どんな顔して向き合えばいいかわからなくて。
『龍弥:久しぶり、どうしたんだ急に』
と、そっけない返しをしてしまった。
『風華:もっと早くに連絡するつもりだったんだけどね』
『龍弥:それはなんで、俺なんかに』
『風華:まあ、一応元彼だからね』
『龍弥:で、要件はなんだよ』
『風華:そっけないなぁ、もっと嬉しそうにしてよ。ね!声聞きたい』
『龍弥:久々に、話すか』
『風華:やった!かけるね〜』
「もしもーし、りゅう?」
「久しぶりだな、風華」
「久しぶりだね、りゅう」
「なんでまた、通話なんだ?」
「久々に声聞きたかったし、りゅうのことまだ好きだもん」
「俺も久々に声聞きたかった、それに謝りたかった」
「謝りたかった?」
「あぁ、俺は周りの声で風華との関係を終わらせた。だから謝りたかった」
「そうだね、私たちの恋人としての関係は一回終わった。」
「俺のせいで風華を悲しませた、ごめん」
「ねぇ、問題!私は今日どうして電話かけたでしょうか」
「そんなのわかんねぇよ」
「りゅう、ちょっと外見てよ」
「外?」
「見た?」
「見たよ」
「お月様はどんな感じ?」
「満月だ」
「ねぇ、りゅう。お月様綺麗だね」
「あ、あぁ。綺麗だな」
「あ、そっか。りゅう、本読まないから分からないか」
「そうだな、分からないな。ごめん」
「あーもう!直球で伝えるの恥ずかしいのに。あのね、りゅうが嫌じゃなかったら。私たち、もう一度やり直さない?」
「え、俺でいいのか。俺は風華を悲しませたのに」
「それはもう仕方なかったこと、だよ。それにそれはもう終わったことだし、りゅうしか有り得ないよ」
「そうか、風華がそういうなら俺もその願いを叶えさせてもらうよ。改めてよろしくな風華」
「うん!よろしくね、りゅう」
後から調べたら、月が綺麗だねって告白の言葉だったらしい。
もっと本読んでおけば良かった。
今度は風華を悲しませないように。また最高の笑顔を見られるように。