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不④

 識が思考を巡らせようとした時だった。朝倉が真剣な表情で声をかけて来た。
 
「あぁ、そうだ進藤さん。一つお尋ねしても?」
「構いません」
「では。久川さんは常用的に睡眠薬を服用されていたかご存じですか?」
「睡眠薬? いえ、常用はしていなかったはず......? あ、いやでも時々眠れない時に飲むとは言っていました」
「なるほど......」

 それだけ告げると、朝倉は珍しく黙り込む。一瞬の静寂が二人を包み、気まずくなった識が口を開いた。

「朝倉刑事、睡眠薬がどうかしたのですか?」
「えぇ......その。実は、久川さんの体内から規定内ではあるのですが睡眠薬が検出されましてね?」
「洋壱の身体から......?」
「そうです。だからお尋ねしたのですが......これだけでは、飲まされたのか自分で飲んだのか判断がつけられませんね」
「確かに......致死量とかならハッキリと分かりますが規定内であるなら難しい所ですね......」
「そこですね。規定内......つまり常識の範囲で使用していたとなると、難儀でして。捜査本部の方でも頭を抱えている所なのです」

(なるほど......洋壱は睡眠薬を......アイツが飲む時は、大抵ストレスが溜まりすぎて寝られなくなった時だ。謎の女と言い、襲撃者と言い、不可解にも程があるぜ)

 識は再度、資料を見直す。朝倉から新たに開示された情報も追加して、思考を今度こそ巡らせる。朝倉も同じなのか、彼は顎に手をやり黙っていた。

(謎の女......洋壱のストーカーと見ていいだろう。だが、問題なのは洋壱をどう殺したか? そして、あの襲撃者の男との関係だ。ここがどう繋がっているのかで、話は大きく変わる......)
「進藤さん。何か考えが?」
「いえ......何も。ただ、謎の女と襲撃して来た男の関係が見えてこなくて......ここがわかれば突破口になるやもと」
「同感ですね。せめてどちらかの身元が判明出来れば良いのですが......」

 そこで会話は止まってしまった。今判明している事実だけでは、手がかりが圧倒的に足りない。このままでは、どん詰まりだ。

(くそ......一つで良い。一つで良いから何か突破口はないのか!? この今ある手札の中から......!)

 焦燥感に駆られる識に朝倉が声をかけて来た。その声色は静かながら決意が含まれているように感じられた。

「心中お察ししますが......だからこそ、慎重に行きましょう。身の危険も考慮せねばなりませんしね」
「そう、ですね......」
「まずは、我々を襲撃して来た男を追いましょう。向こうもこちらを狙ってきているでしょうしね」
「それはそれで不愉快ですが......確かに仰る通りですね......」

 気を取り直して、二人は捜査を再開する事にした。まずは......襲撃者の男について調べる方向で。
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友よ、お前は何故死んだのか?作者:河内三比呂
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 識が思考を巡らせようとした時だった。朝倉が真剣な表情で声をかけて来た。
 
「あぁ、そうだ進藤さん。一つお尋ねしても?」
「構いません」
「では。久川さんは常用的に睡眠薬を服用されていたかご存じですか?」
「睡眠薬? いえ、常用はしていなかったはず......? あ、いやでも時々眠れない時に飲むとは言っていました」
「なるほど......」

 それだけ告げると、朝倉は珍しく黙り込む。一瞬の静寂が二人を包み、気まずくなった識が口を開いた。

「朝倉刑事、睡眠薬がどうかしたのですか?」
「えぇ......その。実は、久川さんの体内から規定内ではあるのですが睡眠薬が検出されましてね?」
「洋壱の身体から......?」
「そうです。だからお尋ねしたのですが......これだけでは、飲まされたのか自分で飲んだのか判断がつけられませんね」
「確かに......致死量とかならハッキリと分かりますが規定内であるなら難しい所ですね......」
「そこですね。規定内......つまり常識の範囲で使用していたとなると、難儀でして。捜査本部の方でも頭を抱えている所なのです」

(なるほど......洋壱は睡眠薬を......アイツが飲む時は、大抵ストレスが溜まりすぎて寝られなくなった時だ。謎の女と言い、襲撃者と言い、不可解にも程があるぜ)

 識は再度、資料を見直す。朝倉から新たに開示された情報も追加して、思考を今度こそ巡らせる。朝倉も同じなのか、彼は顎に手をやり黙っていた。

(謎の女......洋壱のストーカーと見ていいだろう。だが、問題なのは洋壱をどう殺したか? そして、あの襲撃者の男との関係だ。ここがどう繋がっているのかで、話は大きく変わる......)
「進藤さん。何か考えが?」
「いえ......何も。ただ、謎の女と襲撃して来た男の関係が見えてこなくて......ここがわかれば突破口になるやもと」
「同感ですね。せめてどちらかの身元が判明出来れば良いのですが......」

 そこで会話は止まってしまった。今判明している事実だけでは、手がかりが圧倒的に足りない。このままでは、どん詰まりだ。

(くそ......一つで良い。一つで良いから何か突破口はないのか!? この今ある手札の中から......!)

 焦燥感に駆られる識に朝倉が声をかけて来た。その声色は静かながら決意が含まれているように感じられた。

「心中お察ししますが......だからこそ、慎重に行きましょう。身の危険も考慮せねばなりませんしね」
「そう、ですね......」
「まずは、我々を襲撃して来た男を追いましょう。向こうもこちらを狙ってきているでしょうしね」
「それはそれで不愉快ですが......確かに仰る通りですね......」

 気を取り直して、二人は捜査を再開する事にした。まずは......襲撃者の男について調べる方向で。
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