魔法使い
爽やかな風を感じて彩乃は目覚める。
「えっ? ここはどこ?」
思わず口から溢れ出た。
当たり前だ。さっきまで家の玄関にいたのだ。
こんな青空が広がる野原にはいた覚えがない。
「ここは夢の中だよ」
三角の帽子を被った小さな白い
小人が可愛らしい声で言う。
そうか、夢ならばこの不思議な現象にも納得がいく。
「そっか。夢なのね。あなたは誰なの?」
「僕は魔法使い!...名前は忘れちゃった!」
魔法使い?こんな15センチくらいの白い小人が?
「小人の間違いじゃないの?」
「失礼な!僕はれっきとした魔法使いだよ!
魔法使いになるための試験も
合格してるんだからね!」
頬を膨らませている様子はリスみたいで可愛らしい。
彩乃の頰が緩む。
「そうだ、今日は彩乃ちゃんに
挑戦してもらいたいことがあるんだ!」
魔法使いは溌剌とした声を出し、
小さな手で向こう側を指差した。
彩乃もそちらを見ると虹がかかっていた。
しかも地上と空と、繋がっている。
今見えているのは虹のふもとだった。
「この虹の向こう側のふもとに
金のカップがあるんだ。
彩乃ちゃん取ってきてくれない?」