電話でお話ししたい....
062
「うん!これいいね......」
アキラちゃんは図書室でミフユに数枚の紙を差し出した......
「これは一応デザイン案ってだけです......最終的には本人に見てもらわないといけないんで......」
アキラちゃんが描いた絵は、金髪ショートの少女が看護師服とメイド服を組み合わせたような、柔らかい印象の衣装を着ているものだった
「そうね......本当は私が描いてもよかったんだけど、しばらく絵を描いてなくて腕が落ちてるからさ、はは......」
「あ、同人誌の頒布会用の作品ですか......」
「うん!絵の練習しようと思って。冬コミには行ってみるつもりなの」
「あ、僕も冬コミ用の同人誌はもう描き終わりました......よかったら背景描くの手伝いますよ......」
「へえ......いいわね、ありがとう......」
ミフユは少し悔しい気持ちになった......もっと早くこの子たちと仲良くなっておけばよかったと......
「先輩、寂しくないんですか?......こうやって一人で図書委員やってるの......」
「まあ寂しいわよ......でもしょうがないでしょ、みんな私のこと怖がるんだもの......だからこうして一人で座ってるしかないのよ......」
「アキトさんの噂話って......本当なんですか?」
「どんな話を聞いたわけ?」
「主に......更科さんっていう元犯罪者と一緒に仕事してたとか、渋谷のあの銃乱射事件の現場にいた一人だったとか、ヤクザとか警察に目をつけられてる不良と親しかったとか......大体こんな感じです」
ミフユは絵を置いて......何でもないような顔でアキラちゃんに答えた
「全部本当のことよ......」
「え!?......」
「何を驚いてるのよ......昔なんて学校に銃持ってきたこともあったんだから」
「...............」
「私も昔は兄のこと心配だったし、怖かったのよ......でも今の兄がどんな感じか、あなたもよく知ってるでしょ......」
「そうですね......」
アキラちゃんはミフユの話を聞きながら、写真をディスコードのグループにユウタに送った
混乱を避けるため、サメちゃんが仕事の話はディスコードで、それ以外の雑談はLINEでするよう提案していたのだった
「......そういえばあなた、部活とかは入ってないの?」
「ないです......普段は放課後、みんなで遊んだりお互いの家に行ったりしてますね......」
「へえ......今度私も遊びに行っていい?」
「じゃあ......サガっちの配信が休みの日にしましょうか......よければパジャマパーティーもできますし......」
「いいの!?友達の家に行くの初めてだから......なんか楽しみになってきちゃった......」
アキラちゃんは周りを見回した
「僕は先輩を手伝う方がいいと思います......」
「そう?」
「先輩に寂しい思いをしてほしくないので......」
「ありがとうね......」
二人はそのまま部活の時間が終わるまで話し込んだ......そしてオフィスへ戻った
オフィス、アキトの家の裏
[うん......見たよ。このモデルでいく]
「本当にいいの?これただのラフ案だよ」
[そう?私はこのデザインいいと思うけど......柔らかい感じで、看護師っぽくてぴったりだよ]
「もっと文句言われるかと思ったのに......」
「何言ってるのよ......私はこのモデルが欲しいし、すごく綺麗だと思うの......欲しいって言ってるんだから、これでいいのよ」
またあのわがままな口調が出た......
本当に可愛すぎる......ユウタは心の中でそう呟いた
「じゃあこれで決まりだね......それと、えっと......電話切ってくれない?ちょっと手が離せなくて」
[...............]
「もしもし?」
[切らない......]
「え?」
どうやら完全にわがままお嬢様モードに入ったらしい
[あなたと電話してたいの......]
「...............分かったよ」
[よろしい......]
「実習初日はどうだった?......」
[三年生の時よりずっと疲れたよ......本格的な実習だからかな?]
「それで、どこに泊まってるの?ホテル?」
[まあね......成田にある国際医療福祉大学の病院で実習受けてるから]
「遠いね......そんなレベルの病院まで行く必要あったの?」
[宮島大学って元々有名な大学だし、医学部生と看護学部生にちゃんとした病院で実習させるのはいいことじゃない?]
「まあ、それもそうだね......」
[それで......今、私のモデル作ってるの?]
「うん......動きのテストをしてるところ......」
シャーロットはしばらく沈黙していたが、やがてユウタに尋ねてみた
[ねえ......なんであなた、そんなに私のモデル作りを手伝いたがるの?]
「なんでって?」
[だって変じゃない?私とあなたって、お客さんとして知り合っただけで、たまたま同じ家に住むことになっただけなのに......なんで急にそんなに手伝いたがるのよ]
ユウタは一瞬言葉に詰まった......本当のことを言ってしまっていいのか、彼自身にも分からなかった
以前アキトが話していたのを聞いたことがあった。大学時代、女友達に正直に「君たちを助けるのは好きだからだ」と告白したら、結局その女性たちは距離を置くようになったという話を
彼はシャーロットにも同じことを言われるのがとても怖かった......
「その......なんていうか......」
[...............]
ユウタは頭をフル回転させて、頭の中にあるあらゆる言葉を絞り出そうとした......
「君は......」
好きだと言えば......嫌われるかもしれない。でもこれは、彼女に気持ちを伝える唯一のチャンスかもしれない......
言葉が出てこない......でも
「君が、俺にとって大切な人だから......」
これだけしか、結局言葉にできなかった......
[そう?]
「そ......そうなんだよ......」
[あなたも私にとって大切な人だから......]
その高慢でわがままな声が、彼の胸に深く響いた......
ユウタは少し微笑んだ
「......そうだね......お互い、大切な存在ってことだね」
[じゃあね......何か食べに行くから。あなたも夜遅くなりすぎないようにね......]
「うん......体に気をつけて。来月にはデビューだね......」
[うん、母のことよろしくね......]
「任せて......」
そして彼女は電話を切った......
「......いいもんだな......誰かにとって大切な存在でいられるって......」
そこにメッセージが届いた
金髪の少女からの短いメッセージだった
[ありがとね......]
「...............こちらこそ」