何かあったら教えてください。
058
雨が降り始めた......だんだん強くなっていく......風もどんどん強くなっていく
「まずいな......あなた濡れてない?」
「にゃあ!!」
猫は服の中でさらに奥に隠れた......風がどんどん強くなってきた......
「......ああもう......」
しかも今は秋の季節だった......周りの空気もかなり冷たくなってきていた......
「大丈夫だよ......傘さえあれば......濡れることはないから......」
でも言い終わらないうちに......さっきよりも強い風が吹き抜けた......
「あっ!」
母が持たせてくれた傘は、風にあおられて飛ばされてしまった......
「にゃあ!」
猫は慌てて服の中に潜り込んだ......
シャーロットは雨をしのげる場所を探して走り続けた......でもどこにも見つからなかった......
「ずぶ濡れだ......はぁ......」
しばらく走って疲れてしまい......彼女はしゃがみ込んで、自分の背中で猫に降りかかる雨を防いだ......
「にゃあ......」
猫の声は震えていた......相当寒いのだろう......
「大丈夫だよ......私が雨をよけてあげるから......あなたは平気だからね......」
雨はさらに強くなり......風はもっと強くなった......
「寒いね......」
あの日も、同じだった......
体も濡れて......寒くて......心も痛かった......
ああ......
どうして私は......こんな目に遭わなきゃいけないんだろう
「にゃあ......」
彼女は猫を見つめた......この子も、あの日の自分と何も変わらないように思えた......
自分は捨てられた......この子も捨てられた......自分は寒い......この子も寒い......自分は濡れている......この子も濡れている......
「誰か......」
彼女は寂しかった......でも、もうあんな思いはしたくなかった......
「誰か......」
こんな時に......ふと、ある人の顔が浮かんだ......
知り合ってからまだ半年も経っていない人......それでも今、一緒に暮らしている人......
「助けて......ユウタ......」
彼女はその名前を呼んだ......たとえ彼と親しくなれば、また同じことが繰り返されるかもしれないとしても......
それでも彼女は彼の名前を呼んだ......
なぜ呼んでしまうのか分からなかった......でも、彼のことが頭から離れなかった......
「傘、いる?」
降り注いでいた雨がふと消えた......大きな影が彼女の視界を覆っていた......
シャーロットは上を見上げた......そこには、さっき自分が名前を呼んだ少年がいた......
「......エモ......くん」
「ごめん......大きい傘を買いに行ってたから遅くなって......」
ユウタは、さっき風で飛ばされたシャーロットの傘も一緒に持ってきていた......
「あなた......助けて......」
「...............え?」
「ううん......なんでもない......」
「それで......その抱えてるのって......」
シャーロットは布を開いてユウタに見せた......彼はそこに、上着の中で丸くなって眠っている猫を見つけた
「おお......猫か......にゃんにゃん」
彼が手を伸ばして撫でようとすると......すぐに猫に引っかかれた
「にゃあ!!!」
「痛っ!!......このバカ猫......」
彼は驚いて、ドタッと尻もちをついた......
「はっ......はは」
その様子を見たシャーロットは、思わずくすっとしてしまった......
「覚えてなさいよ......家に着いたら絶対お風呂に入れてやるからな......」
「はは......はははは」
ユウタの様子を見たシャーロットは、思わず声を上げて笑ってしまった......ユウタは驚きながらも、一緒になって笑った......
「ただいま帰りましたぁ......」
「ただいま帰りました......」
「おかえりなさ......え!!びしょ濡れじゃないの......どうして雨に打たれてきたのよ......」
「それが......その......」
彼女は上着を開いて母親に見せた
「にゃあ!!」
「あら猫ちゃん!!どこで見つけたの?」
アメリアはすぐに猫を抱き上げた......猫もそれが気に入ったようだった......
「道端に捨てられてたんです......それで見つけて......あと、この子は女の子だから、優しくしてあげてくださいね......」
「あら......じゃあ一緒にお風呂に入れてあげましょうか......」
「お母さん......私もう大人なんですよ......お母さんと一緒にお風呂なんて、子供の頃だけですよ......」
「いいじゃない......恥ずかしがることないでしょ......さあ、早く......」
アメリアはすぐに娘の手を引いてお風呂へ連れて行った......
「ユウくんも、一緒にお風呂入る?」
「いいんですか!!!あ......えっと......いや......え?」
「お母さん!!早くお湯の準備してよ......」
「あなたって本当に気分屋よね......さっきまで機嫌良かったのに......はぁ、お母さん困っちゃう......」
「それ誰のせいだと思ってるの......」
女性陣はお風呂へ向かった......
「賑やかでいいなぁ......この家族......」
「うちもこんな家族だったらいいのにな......」
「エモくん......お湯、用意できたよ......」
一時間ほど経って......彼女はユウタをお風呂に呼びに来た......
「うん......ありがとう......それで、あの猫は......」
「セバスチャンのこと?お母さんが毛を乾かしてあげてるよ」
「それ、猫の名前なの......」
「うちの母、ああ見えて筋金入りの猫好きなんだよね......」
彼女はちらっとユウタを見た......
「何?」
「ううん、何でもない......ほら!早くお風呂入っておいで......風邪引いちゃうよ......」
「うん......」
ユウタはタオルを手に取り、部屋を出ようとした......でもふと振り返ってシャーロットの方を向いた
「なあ......宮島」
「何?」
「何かあったら、いつでも言ってよ......」
シャーロットは彼の顔を見つめた......ユウタの表情はとても真剣だった......
「......うん、ありがとねエモくん......」
「あなたって本当に優しいね......」
彼女は彼に微笑みかけると......自分の部屋へ戻っていった......
「何かあったら、あなたに相談するね......」
そう言って、彼女はドアを閉めた......
「......いつでもどうぞ......」