誤解を解く.....5
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シンジくんが運転して小さな一軒家に着いた....
「入って入って」
「お邪魔します」
「お邪魔します」
私たち二人は中に入った....ここは小さくて温かみのある家だった.......
「素敵な家だね」
「ありがとう」
私たちは小さな寝室に案内された.....だから私たちはこの機会にシャワーを浴びて着替えることにした
「お湯加減いい?」
「うん...ありがとう」
クイナちゃんってさ、どれだけ時が経っても変わらず優しいんだな
彼女は出て行かず、湯船に浸かっている私のそばに座って話していた
「それであなたは最近どう?」
「今は看護学校もうすぐ卒業するところで、あとVTuberの仕事もしてるの」
「VTuber!? あのキャラクターが動くやつ!?」
あ...うっかり言っちゃった....でも彼女なら口外しないよね、たぶん
「うん...そうだよ」
「へえ...すごいじゃん お嬢様のシャルルちゃんがVTuberになるなんて誰も思わなかったよ」
「ふふ 私はもうお嬢様じゃないよ」
あの日から...私たちが別々の道を歩んで東京に行ったあの日から、私はずっと普通の人として生きてきた
「アメリアさんは元気?」
「母はまだ昔と変わらず明るいよ......最近は夕方のドラマが好きなおばさんになっちゃった」
「本当にあなたのお母さんらしい........」
「それであなたたち二人は、今は何してるの」
「えっと..シンジくんは今フリーカメラマンでね、仕事はそんなに多くないけど、どの仕事も報酬は結構いいんだよ」
「彼らしいね...それであなたは」
「私は仕立て屋さんやってるの......制服とかウェディングドレスの仕立てを受けてて」
「わあ...すごいね でも全部のタイプを仕立てられるの? 結構大きなお店ってことだよね」
「うん 店名はコイケイメリーっていうの.....フランチャイズ化しようと思ってるんだけど商標登録がまだ通らなくて」
「お菓子屋さんみたいな店名つけちゃって、そりゃ簡単には通らないでしょ」
「本当にそうだよね....」
彼女は黙った...私は彼女の心の中に何か言いたいことがあるのを感じ取った....でも九年前のあの出来事が自分の罪の印のように今もずっと心にくすぶっていて、だから口を開く勇気がないのかもしれない
言わなくても彼女が何を言いたいのか私には分かっていた......
でも話すべきなのはクイナちゃんじゃなかった
「ごめんね....過去のこと」
「え.....」
それを口にした瞬間...胸のつかえが取れた気がした 相手が許してくれるかは分からないけど、でも少なくとも言葉にできた
九年間ずっと心に残り続けていたこと
「あの時私......頭に血が上って....よく考えもせずに行動しちゃった.....」
「..........」
「あなたから友達を奪って...全部を失わせた......私の怒りのせいで」
「あなたは悪くないよ」
「........でも私」
「確かにあなたは私とシンジくんを傷つけるべきじゃなかった.....でも忘れないで、私たちが自分でこれを選んだんだってこと だからあなたが私たち二人を傷つけたのは、きっと私たちが受けるべき罰だったんだよ」
彼女は浴室のドアに寄りかかって座った
「私はあなたを裏切った....彼をあなたから奪った.....それがすべて」
「..........」
「私ね...最初から彼に恋してたの....」
彼女はシンジくんへの本心を私に打ち明けた もちろん彼女がそう言っても、私はもう怒りなんて感じなかった
あの頃は本当に恐ろしかった..アキトさんがよく言っていた、怒り合っていたカップルも落ち着いたら元に戻ることが多いって
私も同じだった......すべてが過ぎ去り始めて、たくさんの人に出会って、いろんな仕事をして、周りのものに出会って、新しい恋にも出会って、それで気づいたの
私はもうあの出来事を手放して前に進んだ方がいいんだって
「そうなんだ?....それは良かったね」
「怒ってないの?」
「ただの中学時代の恋愛だもん....よく考えたらなんであんなことを心の傷にしてたのか分からないよ......」
「あなた...本当に大変だったんだね」
「もし私が全部を手放し始めてなかったら.....こんな大変な生き方しなくて済んだんだろうね」
「それ...は....」
「私は前に進むよ....彼と一緒に」
「それって...ユウタくんのこと?」
「うん....性格いいよ ちょっとエッチなとこあるけど」
「もう.......シンジくんも似たようなもんだよ....」
私は力を抜いた...そしてクイナちゃんと久しぶりに気楽に話せるようになった、九年ぶりに
「それで...あなたたちは結婚したの?」
「入籍だけしたの.....ちゃんとした結婚式をする予定はないんだ」
「私も結婚のことはまだ考えてないかな.......タイミングがちょうど良くなったら入籍しようかなって」
「彼のこと本当に愛してるんだね」
「当然でしょ.......彼ね...性格いいし、いつも助けてくれるんだ」
「シンジくんみたいだね」
私は一瞬固まった...でもすぐに立て直した
「うん....だって私たち二人とも優しい人に恋してるんだもん、でしょ?クイナちゃん」
彼女は少し黙った...表情は見えなかったけど、きっと微笑んでいるんだと確信していた
「そうだね」
私は湯船から立ち上がり...体を拭いて...着替えに行った
「次はあなたの番だよ...」
私は部屋にいるエモくんに伝えに行った...相変わらず彼はまだ何かをいじくり回して座っていた
「うん...先にシャワー浴びてくるね」
それから部屋を出た.....私は机の方へ歩いてドライヤーを取ろうとした、そしてふと視線がカメラに止まった
[ねえ!...シンジくん...シャルルちゃんと一緒に写真撮らないの?]
[え!?..クイナちゃん...そ...それは....こういうのは.....]
[いいじゃん....ほら...シンジくんも私に言ってたよね、彼女との"良い思い出を残したい"って....]
「懐かしいなあ、このカメラ」
後ろから声がした 振り返るとそれはシンジくんだった
「大学三年の時までこのカメラ使ってたかな、それで壊れちゃって、だから思い出として取っておいただけなんだ ユウタくんがそれを見て直してあげるって申し出てくれてね」
「そうなんだ....でもこの人ってさ...壊れたものを見ると放っておけないんだよね いつも直しに来ちゃう」
「ふふ...僕も驚いたよ でも聞いたところによると話せない人のために発話補助機器も作ったんでしょ しばらくニュースにも出てたし」
あんまりニュース見ないけど、この人そんなことまでできるの?(普段はツイッターとインスタ見て、ユーチューブはお笑い動画と猫動画ばっかり見てるから、こんなニュースがあったなんて知らなかった)
「変なもの作るのが好きなんだよね、アキトさんたちからはトニー・スタークの劣化コピーって呼ばれてるくらい」
「ははは なんだそれ....」
私はベッドに座って髪を乾かしていた...彼も私の隣に座った
「みんなはどうしてる?」
「西尾くんとキュちゃんは二人とも探偵の仕事してるよ......しかも夫婦になって子供が二人もいるんだ」
「西尾くんってひどいな」
「いろはちゃんは...彼女は特撮俳優と結婚して別の場所に引っ越しちゃったよ.....それ以来会ってないんだ」
それを聞いてシンジくんは少し悲しそうな顔をした....
「あなたってさ....クイナちゃんにぴったりだよね」
「分かってるよ.....だって僕あの子のこと愛してるからね」
もう、許してもらえたと分かったら調子に乗っちゃって
「あなたの顔の傷のこと...どんなことがあっても謝りたくて....ごめんね」
「僕は当然の報いを受けただけだよ」
「これから...私たちみんな、また友達に戻れるのかな....」
「そうだね.....それも悪くないね....」
一度試してみたい気がする
「じゃあ....今度...みんなで焼肉でも食べに行かない?」
「いいね! いつ食べるか電話で教えてよ」
時が経ち、色んなことが変わり始めた.....
私も、シンジくんも、クイナちゃんも
もしかしたら....自分自身を許して前に進むことは、そんなに悪いことじゃないのかもしれない
自分に囚われるのはもうやめた.....
私はエモくんと、ユウタと前に進んでいく
私はもう一度カメラを見た...そしてシンジくんの方を向いて言った
「私とエモくんの写真撮ってほしいな」
「いつでもいいよ....だって僕はプロのカメラマンだからね....」
私たちは微笑み合った
ああ......すごくいい気分だ