㉗ テレビ塔にて
一方その頃。
2003年3月24日の月曜日。
場所は名護屋テレビ塔の亜空間レストラン。
中央のテーブルでは、朝から、サン・ジェルマン伯爵と村田京子、真田雪子の3名で、コーヒーを飲みながら談笑していた。
「宮崎駿監督の"千と千尋の神隠し"、やっぱりアカデミー賞の長編アニメ映画賞、獲得したわね」と雪子。
「日本の伝統的な神と、あの世の概念の具現化、そしてその寓話化。実に見事な仕事でしたからねえ」
伯爵も、そんな感じに、のんびりと相槌を打つ。
「ちょっと、今日はそんな雑談をしに来たんじゃないでしょ?」と京子。
「あれっ、私、何しに来たんだっけ?」テヘペロする雪子。
「例の事件の報告でしょ?」
「ああ、そうだったわね」
そんな訳で雪子は、先の光陽高校での事件の顛末について、かいつまんで伯爵に説明した。
「まあ、平たく言えば、今回の事件も、アナタのせいよね?」
話が終わるやいなや、早速京子が断じて来る。
「認めるわ。あの頃のアタシは、別の時間軸の弟である雪村に、夢中だったから......私自身が二つに分離してしまう程にね」
(第1巻 参照)
「やはりそのせいで、時間軸のあの部分が、アラハバキや四次元人たちから、注目を集めやすくなっているのですね?」と伯爵。
「時空が一部歪んで、ポータルが開きやすくなっているのよ。だから今後も、ドローンを飛ばすとかして、監視を続けるべきだわ」
と提案する京子。
「解りました。是非、そうしましょう」
伯爵は早速、手はずを整える事にした。
「ホントに、自重してよね?雪子さん」と念を押す京子。
「はあ~い。反省してまあ~す」と余り真剣味を出さない雪子。
「まあ、まあ、京子さん、もうイイじゃないですか、その辺で」と伯爵。
しかし、そんな事を言いながら、京子は心の中で、舌をペロリと出していたのだ。
もしもここに、悪意専門のテレパス、酒井弓子が居たら、バレバレな程に......。
(ふん、私だって、可愛い18歳のサン・ジェルマンに、会いに行ってやるんだから!)
その時彼女は、そんな事を企んでいたのである。
しかしながら、ソレはまた、別のお話。
今回のエピソードは、これにて完結です。
鈴木圭子、花井実、佐倉瞳、町田加恋の4名の今後の再登場は、今のところ、未定です......。
※ 以下 「青年サン・ジェルマンと黄色いワンピースの雪女」に続く。