クーデター エピローグ
016
「私も加わらせてください......騎士殿......」
「ダリウスの子孫とまた肩を並べることができるとは、この上ない光栄だ......」
「こちらこそ......」
ルイスとウィリアムは剣を抜いて並び立った......
「......貴様ら二人......まとめて殺してやる......」
二人は顔を見合わせて笑った......
「かかってこい!!!」
ウィリアムが走り出して黒い鎧に力いっぱい斬りかかった......しかし鎧はまた修復した......
しかも修復の速度がものすごく速かった......
「斬れば斬るほど......無駄骨に終わるだけだ......」
黒い鎧から嫌みな声が響いた。そして国王は黒い剣を手に二人に向かって斬りかかってきた。
「飛べ!!」
ウィリアムは跳躍魔法で彼とルイスの体を空中へ飛ばした......国王の体勢が崩れた......
二人は剣を構えて斬り下ろす体勢を取った......重力を利用して......
ガン!!!
両者の剣の力がぶつかり合い、国王の剣が真っ二つに折れた......
「意味がない......」
剣の破片が組み合わさろうとしていた、そのとき......
「もらうわよ!!!!!」
「はあ!?......」
マベルが竜から飛び降りた......そして剣の破片を奪い取り、街の方へと走り去った......
単純な発想だった......誰でも思いつくことだった......
部品が組み合わさるなら......部品をよそへ持っていけばいい......
「剣がなくてどうする......」
ウィリアムが火球魔法を国王に向けて放った......しかし彼はかわした......
ところが......
ルイスが走り出て、その火球の前に立ちふさがった......
そして自分の魔法を発動させた......
「仲間の兵士の仇を取る時が来た......」
金色の光が彼の全身を包んだ......あふれ出す力にメグミ姫がちらりと目を向けた......
これが......ルイスの切り札だった......
「くらえ!!」
彼は素手で火球に思いっきり触れた......そして火球は弾き返された......
「しまった!! 忘れていた、この魔法は......」
火球が国王に迫った......かわす間もなかった......とっさに手でガードした......
「あらゆる攻撃を跳ね返す!!!」
ドン!!!!! 轟音が街中に響き渡った......
あたりにいた市民たちも音を聞いて外に出てきた......
当然、鎧の修復は速い......しかし小さなダメージだけだった......
大きなダメージを負えば修復に約三分かかる......
キキキ......キキキ......キキキ......
今や......鎧は左腕、胸、フェイスガードの部分が細かく砕けていた......
その場にいた全員が目を疑った......鎧の中にいたのが......
めったに顔を見せることのない国王だったからだ......
街には国王の肖像画が貼られ、これが国王だと言われていた......しかし実際にヘレン王子とメグミ姫しか街に出てこなかった......
なぜ国王が市民を避難させようとしている騎士と戦っているのか......
話は複雑だったが、見え方はひとつしかなかった......
国王は間違いなく、よい人物ではない......
「はあ......はあ......はあ......」
鎧は修復中だったが、ウィリアムとルイスは待たなかった......まだ部品が組み合わさる前に、国王に攻撃を仕掛けた......
二人は剣を分けて国王の体に斬りかかった。肉体は切り裂かれたが......予想通りだった......
彼が何度もゼングラフを使ってきた以上、体は再生する......
だからこそ......ゼングラフごと爆発させる計画を絶対に失敗できなかった......
「お前たち二人でわしに勝てると思っているのか?」
国王が反撃に出た......ウィリアムの鎧の顔面を思いっきり殴りつけた......ヘルメットが吹き飛んだ......
二の打ちを繰り出そうとした瞬間、ルイスが割り込んで代わりに拳を受けた......
彼の防御魔法のおかげで......国王の拳は後ろに弾き返され、体勢が崩れた......
ガン!......キキキ......キキキ......キキキ......
ウィリアムのヘルメットが飛んできて、また組み合わさった......
「とにかく鎧を組み合わせる隙を与えるな......」
「はい!!!」
クロエの方では......
彼女はゆっくりと......宝石の魔力と自分の魔力を融合させていた......かなりの時間がかかっていた......
接続は少しのミスも許されなかった......
「もう少し......それだけ......」
{クロエ......まだ?}
「メグミ姉様? 市民は?」
{全員安全な場所に避難した......山を爆発させて小屋が吹き飛んでも死者を心配しなくていい......}
彼女は安堵してため息をついた......
「あと五分待ってください......時間を稼いでおいて......合図を送るから......」
{わかった......}
王宮の側では......
「最後の......」
グラハムはかつて一緒に乾杯し、戦場を共にした元仲間たちの遺体を運び続けていた......
しかし今回......かつての部下に剣を首に突きつけられていた......
「よし......彼らを連行しろ......」
「テガ......」
それがその将校の名前だった......
「わしたちには共通の敵がいる......お前だって国王がどんな人物かわかっているだろう......」
しかしテガは聞かなかった。かつての上官......いや、元軍隊長に顔をしかめた......
「しかしクーデターは違法です......成功しても......閣下は裁かれることになりますよ......」
「わかっている......しかしあんな国王でもお前たちは受け入れられるのか......あの王女たちを誘拐したのを!!」
テガだけではなく......残りの兵士たちも一様に頭を下げた......
「では......"私たち"全員に、あの三人を連れてくるよう命じたのは誰だ......」
全員が黙り込んだ......
「では......私たちに......あの三人の王女を生きたまま焼き殺すよう命じたのは誰だ......」
グラハムの声は......力強く......そして底知れぬ怒りに満ちていた......
「......わしは残りの市民を助けに行く......残りのお前たちは......ついてきたければついてこい......」
グラハムが外へ歩み出た......グラハム側の残りの兵士たちも後に続いた......
「どうする?......」
一人の兵士が聞いた......
テガはしばらく考えた......しかし彼自身も、王女たちを殺した者の一人だという現実を受け入れることができなかった......
「私たちは......自国の民を助けなければならない......」
全員が笑顔になった......そして向きを変え、それぞれの持ち場についた......
民を守る兵士として......
「了解!!!!」
「うわっ!!! 黒い鎧がどんどん不利になってきた......」
リボンとヒメコが魔法の竜の上から戦いを眺めていた......
「それより大事なのは......鎧の破片を奪い続けなきゃいけないってことよ......」
ヒメコがそう言うと......リボンはある考えを思いついた。ヒメコの耳元でこっそり囁いた......
リボンが話せばヒメコは笑った......
「この作戦、なかなかいいんじゃない?......」
「でしょ......」
そう言うと竜の尻尾を引っ張って地上に降ろした......
「お前たち!! なんで降りてきたの!?」
二人は先ほどの作戦を姫に囁いた......
姫は少し首を傾げた......そしてニヤリと笑った。
「この作戦、なかなかいいわね......」
「姫様!!!」
グラハムがちょうど現場に駆けつけてきた......
「ちょうど良かった......手伝ってほしいことがあるの......」
「そうなの?......じゃあこの作戦でいきましょう......」
準備を終えたクロエも計画に従って動く準備をした......
{ああ......期待を裏切らないわよ......}
「でもメグミ姉様って本当に意地悪ですね......」
{違う......計画を考えたのはリボン姉様よ......}
「えっ......さすが盗賊ね......」
そう言うとクロエは隠れていた場所から飛び出した......そしてゼングラフを破壊する魔法を発動させる準備をした......
「さあ......仇を討つ時が来た......」
ズゥゥゥゥン!!!! 嵐の中に風と雷が降り注いだ......ゼングラフがゆっくりと空へ浮き上がっていった......
浮かび上がっていく......嵐の中を......
それを見た国王は、本が破壊されれば自分が負けると瞬時に悟った......
「嫌だ!!!!」
国王はウィリアムの顔を殴りつけ、クロエへと全力で走り出した......
それこそが罠だった......
「マジェスティ☆チェーン!!!」
姫が魔法を放ち、国王の体を鎖で縛り上げた......
「......メグミ!!!」
「今よ!!!」
ウィン!! かつて国王の命令を聞いていた兵士たちの前に......今や彼らはある種の武器を用意していた......
「撃て!!!」
ドン!!! 大砲が国王に向けて放たれた......弾道はばらついていたが......
「わしに任せろ!!!!」
ウィリアムは重力魔法で大砲の弾道を曲げた......
轟音が響き渡った......鎧は今、粉々に砕け散り始めていた......
しかし鎧はまた修復を始めた......
「冗談じゃないぞ!!!!!!」
国王が怒りを爆発させた......姫の魔法の鎖が切れ始めた......
「今よ!!!」
鎖が切れた......鎧の破片はほぼすべて組み合わさっていた......
キキキ......キキキ......キキキ......
国王は本を破壊しようとしているクロエに向かって拳を振り下ろした......
「妻に手を出したいなら、まずわしの屍を越えてからにしろ......」
ルイスが割り込んで自分の魔法で国王の拳を受け止めた......国王の腕が後ろに弾き返された......
ルイスは剣を手に取り、鎧を力いっぱい斬りつけ続けた......
繰り返し......繰り返し鎧を斬り続けた......
国王は体勢を立て直す間もなかった......
「死ね!!!!」
ザン......
短い金属音が鳴り響いた......しかしその意味はすぐに理解できた......
国王の左腕がルイスの剣で一閃のもとに切り落とされた......
「池田が教えてくれたことだ......礼を言わなければな......」
ウィリアムは走り込んで国王の顔面を何度も何度も殴り続けた......
「今だ......今がその時だ......」
三人の少女が決めていた集合場所へと急いだ......姫が魔法で移送してきた武器を受け取った......
それは強力な兵器だった......パイナップル型の弾頭が見えた......
「ドカン!!!」
ヒュゥゥゥゥゥ......耳をつんざく音とともに、誘導ロケットが国王に向かって飛んでいった......
その間に、彼の左腕が組み合わさって戻ってきた......
ロケットを受け止めた......そして三人の少女を小馬鹿にした視線でちらりと見た......
ウィリアムはルイスを素早く突き飛ばし、ルイスはクロエを魔法で守った......
「?」
なぜ離れたのか不思議に思う間もなく......ドン!!!!
国王の鎧は今や下半身と右脚だけになっていた......
「クロエ!!!」
「やっちゃって!!」
魔力を注ぎ込まれて無効化された魔法書が、今まさに爆裂して粉々になろうとしていた......
クロエは魔法を使い、鎧が修復中の隙間に本を押し込んだ......
「わしは絶対に......」
国王が本を引き出そうとした......しかしメグミの魔法の鎖が手足を縛り上げた......
「嫌だ!!!! わしは絶対に!! 死ぬものか!!!......」
キキキ......キキキ......キキキ......
鎧の破片が次々と組み合わさっていった......国王の叫び声がどんどん大きくなっていった......
「.....................」
ウィリアムが歩み寄り......彼の胸の上を踏みつけた......
「......わしは......」
国王が口を開いた瞬間......彼と直接または間接に関わったすべての者が、彼の最期を見届けようとその場に集まった。
国王の顔は歪み......哀れみを乞う声が突然口から吐き出された......
「頼む、ウィリアム!! すまなかった! すべてのことに謝る!! わしがしたことは権力に目が眩んだからだ!! ケイシーの言った通りだ!! わしはただの嫉妬深い好色者に過ぎなかった!!! だから頼む!!!」
外道を外道とも思わず冷徹に振る舞ってきた人間の口から、みじめな泣き声が漏れ出てきた......
「その通りだ......」
ウィリアムが言った......本はいつでも爆発できる状態だった......鎧の修復もまもなく終わりを迎えようとしていた......
「今日お前の顔を殴れた......胸のすく思いがしたぞ......」
「そ......そうか?......わしは......罰を受けるべきだよな......」
三人の盗賊少女が国王へとゆっくり歩み寄った......彼もにやりと笑った......
「おお!! わしの娘たちよ......本当に可愛らしい......」
リボンがマベルへ手を伸ばした......
「ああ......本当に申し訳なかった......しかしわしは誓う、お前たちを宮殿に戻らせてやろう......」
マベルがヒメコへ手を伸ばした......
「もうこんなに大きくなって......ははは......」
ヒメコは「鉄で作ったパイナップル」をマベルに手渡した......
「お前たちはなかなかの才能を持っている......わしの娘に相応しいよ......」
マベルが安全ピンを抜いた......
国王の鎧ももうすぐ修復完了するところだった......
「クロエもそうだ......お前がわしの息子を裏切ったと思っていたのは誤解だった......へへ......どうだ、宮殿に戻ってこないか? 王妃として君臨させてやってもいいぞ......」
クロエはルイスとメグミ姫の顔を見た。そして穏やかな口調で返した......
「いいわよ、くそじじい......それにそういう王位とかそういうのには興味ないし......ルイス様と穏やかに暮らす方がずっといいから......」
「......ぐっ......」
国王が唾をのんだ......
「あ......そして玉座はこの子のものですよ、父上......」
メグミ姫がニヤリと嘲笑した......
国王は落ち着かなくなり、リボンに向き直った......
「り......リボン!!......お前はどう思う!?」
リボンは何も言わなかった......彼女は国王のそばに歩み寄り......フェイスガードが閉じる寸前に、鉄で作ったパイナップルを中に投げ込んだ......
「ちょっと待って待って待って! 頼む!! やめてくれ!!! もういい!! 頼む!!!」
全員が顔を見合わせた......そして国王が息絶える前に、最後の言葉を贈った......
「「さっさと死んじまえ!! このくそ野郎!!!(Henry fucking mother fucker!!!!)」」
「いやああああああ!!!!!!!!!!!!」
悲鳴が鎧を突き抜けた......そして爆発が国王の体を跡形もなく吹き飛ばした......
ゼングラフと、獣以下の外道だった国王は、この世から消えた......
次回......最終回......