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エピソード1 :新世界?

レクヴィア(地下都市)の薄暗い通路は、湿気で息が詰まりそうだった。
高い天井からは、汚れた水滴が忌々しいリズムを刻みながら、剥がれ落ちたコンクリートへと叩きつけられている。

その音は長いトンネルの中に響き渡り、剥き出しになった電線のパチパチという火花と混ざり合う。
一瞬の閃光が、暗闇の中にうごめく群衆の、灰色の顔を照らし出した。

「またパイプが破裂したぞ」

「ここの電線、今にもみんなを焼き殺しそうだ......」

「聞いたか? 倉庫にまたネズミが出たらしい。デカい怪物のような奴らだ!」


場面は変わり、静まり返った会議室。
たった一つのランプの下に、レクヴィアの指導者、カルデ・フレックが座っていた。

「さて、諸君。状況はどうだ?」

フレックの声は低く、乾いていた。

「最悪です......」

主任技師は、震える手で図面を丸めた。

「電力は減る一方だ。発電機は虫の息で、機械も次々と壊れている」

「我々のほうも同じだ」

補給担当が声を絞り出す。

「至る所で水漏れが起きている。それに、食料倉庫のネズミ......あれはもう、破滅的な状況だ」


軍事を担当するプラクト・ノエルが重い溜息をついた。

「レクイエム使いたちはどうだ? 彼らは今、何をしている?」

「報告書を出せ」

フレックが手を差し出す。彼は素早く目を通し、あるページで指を止めた。

「レクイエム使いたち......彼らは今、かつてないほどの困難に直面している。この避難所(ブッカー)は、文字通り彼らの肩にかかっているのだ」

彼はフォルダを閉じた。

「ああ、クソ......なんてザマだ」


沈黙が部屋を支配した。顧問たちは指導者と目を合わせるのを恐れ、互いに顔を見合わせる。

その時、フレックの背後に青く透明な人影がゆっくりと現れた。
アガハンが指導者の耳元にかがみ込み、その囁きは冷たい風の音のように響いた。

「フレック殿、これは『出る時』が来たということではないか? お前はレクヴィアの指導者だ。決めろ......」

地下都市は、永遠の黄昏を辛うじて追い払うような、鈍いオレンジ色の光に包まれていた。
安っぽい茶の匂いが漂う地元のカフェでは、至る所で激しい議論が交わされている。

「聞いたか? 地上へ出るらしいぞ」

「よせ、デタラメだろ! あそこには何も残っちゃいない、すべて焼き尽くされたんだ! ここで暖まっているほうがマシさ」


だが、広場ではまた別の時間が流れていた。
そこでは、子供たちの叫び声と笑い声が暗闇を追い払っている。

三人の友人が、お気に入りのベンチを陣取っていた。
十四歳のショーグンはだらしなく寝そべり、カーリーとカメリアは泥の中に木の棒で熱心に絵を描いている。

「おい......ショーグン、座らせろよ!」

カーリーが友人の肩を小突いた。

「嫌だ。寝てる」

「じゃあ、私は?」

カメリアが割り込む。

「あっち行け! 寝てるんだ!」

ショーグンは腕で目を覆いながら毒づいた。

「ショーグン、大人が何て噂してるか聞いたか?」

カーリーが棒を脇に置いた。

「あ? 聞いてないが、知っている」

「聞いてないのに、どうしてわかるのよ?」

カメリアが髪を整えながらクスクスと笑う。

「聞くほどのことか?」

ショーグンは片目を開けた。

「状況はクソだってことだろ。分かりきってる」

「違うよ!」

カーリーは陰謀を企むように声を潜めた。

「店で並んでる時に聞いたんだ。上層部が『地上への脱出』を計画してるって!」

「なっ、何だって?!」

カメリアが飛び起きた。

ショーグンはただ気だるげに横を向いた。

「カーリー、寝てろよ。お前、頭がどうかしたんだろ」

通信部はカビと古い埃の匂いが立ち込めていた。
巨大なモニターと無骨なコンピューターは、クモの巣と苔に覆われ、まるで過ぎ去った時代の墓標のようだった。

「ええい......まだ機械を掃除していないのか」

中に入ってきたフレックが声を上げた。

通信兵は驚いて、危うくお茶をこぼしそうになった。

「あ、フレック殿......どうせ誰も使い方は知らないし、壊れているんです。掃除する意味なんてないと思いまして」

「一理あるが、秩序というものがあるだろう......。まあいい、本題だ。近隣のすべての避難所(ブッカー)にモールス信号を送れ。全ノードに周波数を合わせるんだ。命令:『V-M-Z計画』を実行せよ」

通信兵の目が大きく見開かれた。

「お......おお! フレック殿、まさかあの壮大な計画を実行されるのですか?!」

彼の指は震えていたが、すぐにリズムよくコードを叩き始めた。


同じ頃、他のブッカーでは、労働者たちがだらだらとタバコを吸ったり居眠りをしたりしていたが、古い装置が突然ガタガタと動き出し、紙のテープを吐き出し始めた。
通信兵たちは椅子から転げ落ち、セクター中に響き渡る声で叫んだ。

「書き続けろ」

フレックの声は鋼のように冷たかった。

「外縁部まですべてに伝えろ」

通信兵は黙って頷いた。何かが起こる予感に、彼の手は激しく動いていた。
(ついに、その時が来るのか?)

「さて、これで終わりだ」

フレックは出口に向かった。

「それと......やはりその鉄屑を掃除しておけ。清潔さのためだ」


通路の暗い隅に身を寄せると、カルデ・フレックは虚空に語りかけた。

「私はレクヴィアの指導者であり、全員に対して責任がある。アガハン、本当に出るべきだと思うか?」

「報告書を聞いただろう」

青い人影が空気中から実体化した。

「太陽を見ることもなく、ここで朽ち果てるつもりか? 私はあそこへ行ったことがある。すべてが緑で、素晴らしい場所だ。お前たちにとって危険かどうかはわからない、私はただの魂だからな......。確かめる唯一の方法は、実際に行ってみることだ」

「混乱を避けるために秘密にしていたんだがな」

フレックは重いため息をついた。

「奴らには、外は焼け野原の砂漠だと言ってある......。彼らがどれほど驚くか、目に浮かぶようだ」

「あとどれくらい時間がかかる?」

「現在、準備が本格的に進められています。完了までには約3週間かかる見込みです」

中央ゲートの近くでは、作業が急ピッチで進んでいた。
軍人たちが重機を操り、労働者たちは木材を組み合わせて、古びた演壇を急ごしらえで作っている。

その横を、三人の友人が通りかかった。

「ほら見ろ!」
カーリーが演壇を指さした。
「言った通りだろ! 俺たちの指導者(リーダー)が演説をするんだ!」

「おい、バカなこと言うな......」
ショーグンがぼやいた。
「何が始まるかもわかってないんだぞ」

「そうよ、カーリー。焦らないで」
カメリアがなだめたが、彼女の瞳にも隠しきれない好奇心が宿っていた。

「カメリア、お前まで俺を信じないのか?」

「クスクス!」

「どうせまた、食料の備蓄が底をついたとか言われるだけだろ」
ショーグンがそう締めくくった。


だが、広場にはどんどん人が集まってきた。
色あせたカーテンと数個の投光器を備えた古いステージが、その時を待っていた。
そこへ、地下世界の運命を永遠に変える男が現れようとしていた。

広場には、古いランプのジーという電気音しか聞こえないほどの、重苦しい沈黙が流れていた。
ステージの端に、カルデ・フレックが姿を現した。

彼の肩越しには、群衆には見えないアガハンの青白い人影が寄り添い、指導者のあらゆる動きを監視するように佇んでいた。

フレックは時間をかけなかった。彼は演台に身を乗り出し、マイクに向かって深く息を吐いた。

「単刀直入に言おう。我々は九十年以上も、この穴ぐらで暮らしてきた。空を見ることなく、ここで生まれ、ここで死んでいった世代もある。だが、時間は尽きた。状況は我々に、地上の世界(アッパー・ワールド)へ出ることを強いている」

群衆が息を呑んだ。
遠くで地滑りが起きたような、地鳴りのようなざわめきが会場中に広がった。

「えっ? 何て言ったんだ?」

「まさか、本当なのか?」

「冗談だろ、絶対に冗談だ......」


人混みの中で、カメリアは怯えたように母親の手を握りしめた。

「お母さん、これって冗談じゃないの?」

「わからないわ、お母さんも......」
母親は困惑した表情を浮かべた。
「お父さんに聞いてみて」

「俺にわかるわけないだろ!」
カーリーの父親が、神経質そうに手をこすり合わせた。


一方、カーリーは幸せそうにその場で飛び跳ねた。

「ほら! ほら見ろ! 俺が言った通りだろ、俺は狂ってなんかなかったんだ!」

石のような無表情で立っていたショーグンが、ようやく重い口を開いた。

「おじさん、おばさん......カーリー、カメリア......静かに。静かにしてくれ。俺たちに選択肢なんてないんだ......ただ、聞いてろ」


そしてステージからは、ざわめきを切り裂くようなフレックの怒号が響き渡った。

「九十年の苦しみは限界だ! 未知の世界へ踏み出す時だ。八日後の五月九日、我々は地上へ出る! 荷物をまとめろ。これは命令だ」

(ふむ......五月九日か。興味深いな)
ショーグンの頭の中に、そんな考えがよぎった。

ついに、地上へ出る日が訪れた。

鼓膜を突き刺すような、凄まじい金属音が響き渡った。高さ五メートルにも及ぶ巨大な正門が、震えながら動き出す。
一世紀近くも継ぎ目に積もり重なっていた埃が、厚い灰色の雲となって舞い上がった。

百年間一度も動くことのなかった錆びついた金属の軋みは、地下都市の隅々にまで反響し、人々はたまらず耳を塞いだ。その音の威圧感と、歴史的な瞬間の重みに、思わず膝をつく者さえいた。


ショーグンは最前列に立っていた。
瞳孔は点のように小さくなり、奥歯を強く噛み締めている。目の前で少しずつ広がっていく闇の先を見つめる彼の鼓動は、重いハンマーのように激しく打ち鳴らされていた。

「信じられん......」

彼は歯の間から言葉を絞り出した。

隣にいたカーリーは、呼吸を忘れたかのように口を開けたまま固まっている。

「子供たちよ、怖がることはない!」
カーリーの父親が声を振り絞って笑おうとしたが、その声は隠しきれず震えていた。
「落ち着くんだ、ただの門だ......。へへっ......ただの鉄屑じゃないか......」

「どうやって落ち着けって言うのよ?!」
カメリアが叫び、影の中へと一歩後ずさりした。
「お父さん、正気なの?!」


門は完全に見開かれた。軍人たちが合図を送る。
目の前に現れたのは階段だった。二百五十メートル上空へと続く、果てしない螺旋階段だ。

「ああ......うあぁ......ショーグン......なあ、これいつ終わるんだよ、頼むよぉ......!」
カーリーの泣き言は、階段の踊り場に響き渡ってすでに四十分が経過していた。

「俺が知るかよ! はぁ......はぁ......」
ショーグンは鉛のように重くなった足を交互に動かし、荒い息を吐いた。

「ショーグン、俺もう死ぬ......!」

「ああもう、いい加減にして!」
カメリアが耐えきれずに声を荒らげた。
「黙ってなさいよ、このバカ!」


ようやく彼らは最後の大詰め、一キロメートルにも及ぶ長い通路に辿り着いた。
人々はコンクリートの上に崩れ落ち、淀んだ空気を必死に吸い込もうともがいている。前方にある最後の門のそばでは、技術者たちがせわしなく動いていた。

カーリーの母親が子供たちの隣に腰を下ろした。

「さて、初めての感覚はどうかしら?」

「最悪だよ......」
カーリーが汗を拭いながら吐き捨てた。
「暗くて、埃っぽくて、湿ってる。ショーグン、お前はどうだ?」

「わからない」
ショーグンはトンネルの奥を見据えたまま、肩をすくめた。
「いつも通りな気もするが......けど、中の方は何か違うな」


カメリアは膝を抱え、虚空を見つめたまま座り込んでいた。

「カメリア、あなたはどうして黙っているの?」
母親が尋ねた。

「私......期待してるの。私たちは未知の世界へ向かってる。もしかしたら、あそこは全部緑かもしれない。あるいは逆に、全部火の海かもしれない。それとも、あそこには本当に何もないのかも。ただの空虚とか......?!」

「ふふ......落ち着きなさい。あそこにはきっと何かが......あっ?!」


前方から鋭い金属音が響いた。――ガガガガッ!

「このマヌケ! もっと慎重にやれと言っただろうが!」
第一技師が怒鳴り声を上げた。

「うるせえ! だったらお前が自分でやれよ!」
第二技師が言い返す。

「何だと? もう一度言ってみろ!」

「静かにしろ!」
近づいてきたメカニックがレバーを引きながら一喝した。
「吠えてる暇があるなら手を動かせ」

カルデ・フレックが彼らに歩み寄った。その瞳は熱病にかかったかのようにギラついている。

「へっ! 素晴らしい仕事だ!」
彼は笑ったが、その笑いは神経質なものだった。


門は一つ、また一つと開かれていった。だが、ついに最後の障壁に突き当たった。
プラクト・ノエルがライトで扉を照らし、思わず後じさりした。

「何だこれは......! 溶けている......それに、何か植物のようなものに覆われているぞ!」

その時、カーリーの傍らで見えない霊体として浮遊していたアガハンが、静かに囁いた。

「残るはあと一つの扉。その先には、新世界が待っている。ただ、お前たちがそこで生き残れるかどうかは......未解決の問題だがな」

「書類上では、ここが最終防衛線だ」
フレックが鋼鉄の継ぎ目を突き抜けて生い茂る、金属的な『緑』の根に触れた。

「鋼を突き破って生えているこの根を見れば、そんなことは一目瞭然だろう!」
ノエルが毒づいた。


技師たちがその機構と格闘すること、三時間。
長く、苦しい沈黙の時間。
そしてついに、最初にして最も重要な、大きな軋みが鳴り響いた。

門がゆっくりと左右に分かれ始めた。
そこから溢れ出したのは、彼らが生まれて一度も見たことのないもの――「眩い光」だった。
それと同時に、新鮮で、肌を刺すような、生命の匂いのする空気がトンネル内へと流れ込む。

人々は光に目を焼かれた。
最初の三十秒間、彼らには白い閃光しか見えず、肺は慣れない過剰な酸素に悲鳴を上げた。
だが、その後に......世界がその姿を現した。

どこまでも青い空、そこをゆっくりと流れる雪のような白い雲。地平線の彼方まで続く山々。
そして緑――至る所に、瑞々しく、鮮やかで、生き生きとした緑があった。
花、木々、遠くの川のせせらぎ、そして海の香り。

「ここはどこだ?」

「これは、どんな世界なんだ......」

「私たちは天国にいるのか? 死んでしまったのか?」

「神様......なんて美しいんだ......」


人生は永遠に変わった。
三人の友人――ショーグン、カーリー、カメリア――は、影の中から最初の一歩を踏み出した。
そして、彼らの肌に日光が触れた瞬間......。

「バ、バ、バ、ハ、ハ、ハーーーッ!!!」
カーリーは体を二つ折りにし、顔が干し葡萄のようにしわくちゃになるほど強く目を瞑った。
「痛い! ただ痛いんだ! 全身が痛いよぉ!!」


ショーグンは、容赦ない太陽から手で目を覆いながら、苛立たしげに息を吐いた。

「黙れよ、ったく......。我慢しろ、すぐに慣れる。ただ空気が違うだけだ。俺は医者じゃないが、これは自然な反応だと思うぞ」

「素晴らしい指摘だ、少年!」
元気な声が響いた。群衆の中から、光に目を細めながら地下都市の主任医師が歩み寄ってきた。
「君の友人の言う通りだ。急激な気圧の変化と純粋な酸素に、体がショックを受けているだけだ。すぐに治まるよ!」

「聞いたか?!」
ショーグンは勝利を確信したようにカーリーの肩を小突いたが、カーリーはただ唸り続けていた。


一方、カメリアは痛みなど完全に忘れたようだった。
彼女はすでにしゃがみ込み、指先で恐る恐る地面に触れていた。

「これ、花だわ......本物の花。それに草も!」
彼女は輝く瞳を友人たちに向けた。
「初めて地上(アッパー・ワールド)に触ったわ! これ......柔らかい!」


ショーグンはカーリーの泣き言に愛想を尽かし、少し離れた山河のほとりへと歩いていった。
少年は空を仰ぎ見た。

「太陽......」
彼は呟いた。
「眩しすぎて、見てるのが辛いくらいだ」

彼は両手で氷のように冷たい水を掬い、一口飲んだ。
ショーグンの目が大きく見開かれる。
それは、パイプから流れてくる塩素やフィルターの臭いがする味気ない代物ではなかった。
それは「生命」そのものだった。

「うまい......人生でこれほど美味いものを飲んだことはない。もう、あの再利用された......尿みたいな水を啜らなくて済むんだな」


小高い丘の上には、カルデ・フレックが立っていた。
内面では歓喜が渦巻いていたが、その表情は石のように硬いままであった。
彼は指導者(リーダー)なのだ。感情に流されるわけにはいかない。

「軍軍(ミリタリー)、前へ! 偵察を開始せよ!」
彼は鋭く命じた。
「外周を確保し、暫定的な境界線を設置しろ! 群衆は散れ! 通路に立ち止まるな。重機と資材の道を開けろ! 急げ!」


プラクト・ノエルが額の汗を拭いながら彼に近づいた。

「フレック、友よ、リラックスしろ! 俺たちはやり遂げたんだ。せめて一時間くらいは人々に休息を与えてやれ」

「貴様はなぜここに立っている?」
フレックは冷徹な眼差しで彼を振り返った。
「貴様も軍人だろう。さっさと仕事に戻れ! 行け、行け!」

ノエルはただ首を横に振り、兵士たちの方へと去っていった。
カメラはゆっくりと遠ざかり、地の底から這い出してきた文明の全貌を捉えていく。
やがて、画面は闇に包まれた。


カーリーの意識の奥深く。
アガハンが住まう冷たく静寂な空間で、青い影が満足げに口角を吊り上げた。

「素晴らしい、フレック殿......」
アガハンは虚空に向かって囁いた。
「私の計画に従うがいい。休息など、必要ないのだからな」

世界は一変していた。

全く別の場所、重苦しい灰色の空の下で、風が旗を緩やかに揺らしている。そこはカデルタリア。ただ建設されているのではない、苦悶と怒りの中で産声を上げている都市だ。

指導者、ヘルムフォル・ヴォルクリュはバルコニーに立ち、眼下で見事な執念を持って働く数千の民を見下ろしていた。
金属の軋む音、道を整える重戦車の轟音、そして煮えたぎるマグマの音。ヘリオスの力を持つ一人が大地を溶かし、未来の幹線道路となる滑らかな黒い鏡面へと変えていく。
民はただ造っているのではない、仕えているのだ。彼らは避難所(ブッカー)から救い出してくれたヴォルクリュへの感謝を示すため、命を削る覚悟でいた。


バルコニーにクリントが近づいてきた。石の床を叩く彼の足音は、正確で乾いた響きを立てていた。

「ヴォルクリュ様。命じられた任務を完了しました。新都市のための戦略的拠点を特定しました」

ヴォルクリュは振り返ることもなく、視線を地平線に釘付けにしたまま問いかけた。

「地形の説明を」

「すべては閣下の期待通りです」
クリントは直立不動の姿勢で答えた。
「広大な山脈。一方は平原で、居住区に最適です。もう一方は高地。過去の廃墟の上に、閣下のシタデル(城塞)を築き上げます」

「よろしい」
ヴォルクリュの声は静かだが、墓場のような冷気が漂っていた。
「民を連れて直ちに建設を開始せよ。誰一人として容赦するな。不平を漏らす者がいれば、誰のおかげで今ここにいるのかを思い出させてやれ。行け」


クリントは一礼して去り、ヴォルクリュは影の中に立ち尽くした。

(ついに、二年の月日を経てあの場所を見つけたか......)

レクヴィアがまだ穴倉に隠れていたこの二年間、彼は地上で帝国を築くための礎を探し求めていたのだ。そして今、彼はそれを手に入れた。


バルコニーの下の広場では、一人の労働者が限界に達していた。彼は重いセメント袋を落とし、道路の埃の中に倒れ込んだ。
すぐさま士官が歩み寄り、鞭を振り上げる。

「貴様、閣下を疑っているのか?!」

「いいえ......滅相もございません......」
労働者は顔を上げることなく、喘ぐように言った。
「ですが、もう限界なのです。どうか休息を。後で必ず埋め合わせます、誓いますから!」


周囲にいた数百の人々が、息を呑んで動きを止めた。士官がバルコニーを見上げる。
上に立つヴォルクリュは、ゆっくりと手を上げ、掌を開いた。――慈悲の仕草だ。

「よかろう」
士官は鞭を下ろした。
「閣下の許可が出た、行け。やり遂げた達成感と共に、ステーキでも食うがいい。下がれ」

労働者はバルコニーに向かって感謝の言葉を叫びながら膝をつき、兵舎の方へと這っていった。
ヴォルクリュはわずかに口角を上げると、奥の部屋へと姿を消した。

同じ頃、レクヴィアでは、地上へ出られたことへの最初の歓喜が、次第に厳格な規律へと取って代わられようとしていた。
フレックは、図面で埋め尽くされた巨大なテーブルの前に立っていた。
アガハンは助手たちが退室するのを待ち、ドアが閉まったその瞬間、指導者の目の前に姿を现した。

「フレック......」

「またお前か?」
フレックは疲れ切った様子で鼻梁を指で押さえた。
「今度は何だ? 見ろ、我々は出たんだ! 生きているんだぞ! ハハッ!」

「今日生き延びたことを喜ぶがいい。だが、決して気を緩めるな」
アガハンの表情に笑みはなかった。

フレックの体に緊張が走った。
彼は、この霊体が決して無駄口を叩かないことを知っていたのだ。

「なぜだ? 何が問題なんだ?」

「信じろ。この世界は、すでに『占拠』されている」
アガハンは、フレックの目と鼻の先まで顔を近づけた。
「信じがたい速度で準備を進めるのだ。民に休息を与えてはならん。造らせろ、そして鍛えさせろ。お前たちに......いや、我々に残された時間は、極めて少ない」

フレックの顔から血の気が引いた。

「何の話だ? なぜもっと早く言わなかった?」

「何の違いがある?」
アガハンは無関心に肩をすくめた。
「お前たちは、遅かれ早かれここへ出るしかなかったのだからな」

フレックは新しい街の地図を見つめたまま、長い沈黙に沈んだ。
やがて、彼は霊体へと視線を上げた。

「......お前を信じよう。言われた通りにすべてを執り行う」

「よろしい。私は行くぞ」

アガハンは数千の光る粒子となって砕け散り、空気の中に消えていった。
フレックは一人、その場に立ち尽くし、目の前の虚空を見つめていた。
窓の外ではまだ、間もなく終わりを迎える運命にある祝祭の喧騒が響いていた。
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平和のための戦争:エイドヴァの世界!作者:GMLLP
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エピソード1 :新世界?

レクヴィア(地下都市)の薄暗い通路は、湿気で息が詰まりそうだった。
高い天井からは、汚れた水滴が忌々しいリズムを刻みながら、剥がれ落ちたコンクリートへと叩きつけられている。

その音は長いトンネルの中に響き渡り、剥き出しになった電線のパチパチという火花と混ざり合う。
一瞬の閃光が、暗闇の中にうごめく群衆の、灰色の顔を照らし出した。

「またパイプが破裂したぞ」

「ここの電線、今にもみんなを焼き殺しそうだ......」

「聞いたか? 倉庫にまたネズミが出たらしい。デカい怪物のような奴らだ!」


場面は変わり、静まり返った会議室。
たった一つのランプの下に、レクヴィアの指導者、カルデ・フレックが座っていた。

「さて、諸君。状況はどうだ?」

フレックの声は低く、乾いていた。

「最悪です......」

主任技師は、震える手で図面を丸めた。

「電力は減る一方だ。発電機は虫の息で、機械も次々と壊れている」

「我々のほうも同じだ」

補給担当が声を絞り出す。

「至る所で水漏れが起きている。それに、食料倉庫のネズミ......あれはもう、破滅的な状況だ」


軍事を担当するプラクト・ノエルが重い溜息をついた。

「レクイエム使いたちはどうだ? 彼らは今、何をしている?」

「報告書を出せ」

フレックが手を差し出す。彼は素早く目を通し、あるページで指を止めた。

「レクイエム使いたち......彼らは今、かつてないほどの困難に直面している。この避難所(ブッカー)は、文字通り彼らの肩にかかっているのだ」

彼はフォルダを閉じた。

「ああ、クソ......なんてザマだ」


沈黙が部屋を支配した。顧問たちは指導者と目を合わせるのを恐れ、互いに顔を見合わせる。

その時、フレックの背後に青く透明な人影がゆっくりと現れた。
アガハンが指導者の耳元にかがみ込み、その囁きは冷たい風の音のように響いた。

「フレック殿、これは『出る時』が来たということではないか? お前はレクヴィアの指導者だ。決めろ......」

地下都市は、永遠の黄昏を辛うじて追い払うような、鈍いオレンジ色の光に包まれていた。
安っぽい茶の匂いが漂う地元のカフェでは、至る所で激しい議論が交わされている。

「聞いたか? 地上へ出るらしいぞ」

「よせ、デタラメだろ! あそこには何も残っちゃいない、すべて焼き尽くされたんだ! ここで暖まっているほうがマシさ」


だが、広場ではまた別の時間が流れていた。
そこでは、子供たちの叫び声と笑い声が暗闇を追い払っている。

三人の友人が、お気に入りのベンチを陣取っていた。
十四歳のショーグンはだらしなく寝そべり、カーリーとカメリアは泥の中に木の棒で熱心に絵を描いている。

「おい......ショーグン、座らせろよ!」

カーリーが友人の肩を小突いた。

「嫌だ。寝てる」

「じゃあ、私は?」

カメリアが割り込む。

「あっち行け! 寝てるんだ!」

ショーグンは腕で目を覆いながら毒づいた。

「ショーグン、大人が何て噂してるか聞いたか?」

カーリーが棒を脇に置いた。

「あ? 聞いてないが、知っている」

「聞いてないのに、どうしてわかるのよ?」

カメリアが髪を整えながらクスクスと笑う。

「聞くほどのことか?」

ショーグンは片目を開けた。

「状況はクソだってことだろ。分かりきってる」

「違うよ!」

カーリーは陰謀を企むように声を潜めた。

「店で並んでる時に聞いたんだ。上層部が『地上への脱出』を計画してるって!」

「なっ、何だって?!」

カメリアが飛び起きた。

ショーグンはただ気だるげに横を向いた。

「カーリー、寝てろよ。お前、頭がどうかしたんだろ」

通信部はカビと古い埃の匂いが立ち込めていた。
巨大なモニターと無骨なコンピューターは、クモの巣と苔に覆われ、まるで過ぎ去った時代の墓標のようだった。

「ええい......まだ機械を掃除していないのか」

中に入ってきたフレックが声を上げた。

通信兵は驚いて、危うくお茶をこぼしそうになった。

「あ、フレック殿......どうせ誰も使い方は知らないし、壊れているんです。掃除する意味なんてないと思いまして」

「一理あるが、秩序というものがあるだろう......。まあいい、本題だ。近隣のすべての避難所(ブッカー)にモールス信号を送れ。全ノードに周波数を合わせるんだ。命令:『V-M-Z計画』を実行せよ」

通信兵の目が大きく見開かれた。

「お......おお! フレック殿、まさかあの壮大な計画を実行されるのですか?!」

彼の指は震えていたが、すぐにリズムよくコードを叩き始めた。


同じ頃、他のブッカーでは、労働者たちがだらだらとタバコを吸ったり居眠りをしたりしていたが、古い装置が突然ガタガタと動き出し、紙のテープを吐き出し始めた。
通信兵たちは椅子から転げ落ち、セクター中に響き渡る声で叫んだ。

「書き続けろ」

フレックの声は鋼のように冷たかった。

「外縁部まですべてに伝えろ」

通信兵は黙って頷いた。何かが起こる予感に、彼の手は激しく動いていた。
(ついに、その時が来るのか?)

「さて、これで終わりだ」

フレックは出口に向かった。

「それと......やはりその鉄屑を掃除しておけ。清潔さのためだ」


通路の暗い隅に身を寄せると、カルデ・フレックは虚空に語りかけた。

「私はレクヴィアの指導者であり、全員に対して責任がある。アガハン、本当に出るべきだと思うか?」

「報告書を聞いただろう」

青い人影が空気中から実体化した。

「太陽を見ることもなく、ここで朽ち果てるつもりか? 私はあそこへ行ったことがある。すべてが緑で、素晴らしい場所だ。お前たちにとって危険かどうかはわからない、私はただの魂だからな......。確かめる唯一の方法は、実際に行ってみることだ」

「混乱を避けるために秘密にしていたんだがな」

フレックは重いため息をついた。

「奴らには、外は焼け野原の砂漠だと言ってある......。彼らがどれほど驚くか、目に浮かぶようだ」

「あとどれくらい時間がかかる?」

「現在、準備が本格的に進められています。完了までには約3週間かかる見込みです」

中央ゲートの近くでは、作業が急ピッチで進んでいた。
軍人たちが重機を操り、労働者たちは木材を組み合わせて、古びた演壇を急ごしらえで作っている。

その横を、三人の友人が通りかかった。

「ほら見ろ!」
カーリーが演壇を指さした。
「言った通りだろ! 俺たちの指導者(リーダー)が演説をするんだ!」

「おい、バカなこと言うな......」
ショーグンがぼやいた。
「何が始まるかもわかってないんだぞ」

「そうよ、カーリー。焦らないで」
カメリアがなだめたが、彼女の瞳にも隠しきれない好奇心が宿っていた。

「カメリア、お前まで俺を信じないのか?」

「クスクス!」

「どうせまた、食料の備蓄が底をついたとか言われるだけだろ」
ショーグンがそう締めくくった。


だが、広場にはどんどん人が集まってきた。
色あせたカーテンと数個の投光器を備えた古いステージが、その時を待っていた。
そこへ、地下世界の運命を永遠に変える男が現れようとしていた。

広場には、古いランプのジーという電気音しか聞こえないほどの、重苦しい沈黙が流れていた。
ステージの端に、カルデ・フレックが姿を現した。

彼の肩越しには、群衆には見えないアガハンの青白い人影が寄り添い、指導者のあらゆる動きを監視するように佇んでいた。

フレックは時間をかけなかった。彼は演台に身を乗り出し、マイクに向かって深く息を吐いた。

「単刀直入に言おう。我々は九十年以上も、この穴ぐらで暮らしてきた。空を見ることなく、ここで生まれ、ここで死んでいった世代もある。だが、時間は尽きた。状況は我々に、地上の世界(アッパー・ワールド)へ出ることを強いている」

群衆が息を呑んだ。
遠くで地滑りが起きたような、地鳴りのようなざわめきが会場中に広がった。

「えっ? 何て言ったんだ?」

「まさか、本当なのか?」

「冗談だろ、絶対に冗談だ......」


人混みの中で、カメリアは怯えたように母親の手を握りしめた。

「お母さん、これって冗談じゃないの?」

「わからないわ、お母さんも......」
母親は困惑した表情を浮かべた。
「お父さんに聞いてみて」

「俺にわかるわけないだろ!」
カーリーの父親が、神経質そうに手をこすり合わせた。


一方、カーリーは幸せそうにその場で飛び跳ねた。

「ほら! ほら見ろ! 俺が言った通りだろ、俺は狂ってなんかなかったんだ!」

石のような無表情で立っていたショーグンが、ようやく重い口を開いた。

「おじさん、おばさん......カーリー、カメリア......静かに。静かにしてくれ。俺たちに選択肢なんてないんだ......ただ、聞いてろ」


そしてステージからは、ざわめきを切り裂くようなフレックの怒号が響き渡った。

「九十年の苦しみは限界だ! 未知の世界へ踏み出す時だ。八日後の五月九日、我々は地上へ出る! 荷物をまとめろ。これは命令だ」

(ふむ......五月九日か。興味深いな)
ショーグンの頭の中に、そんな考えがよぎった。

ついに、地上へ出る日が訪れた。

鼓膜を突き刺すような、凄まじい金属音が響き渡った。高さ五メートルにも及ぶ巨大な正門が、震えながら動き出す。
一世紀近くも継ぎ目に積もり重なっていた埃が、厚い灰色の雲となって舞い上がった。

百年間一度も動くことのなかった錆びついた金属の軋みは、地下都市の隅々にまで反響し、人々はたまらず耳を塞いだ。その音の威圧感と、歴史的な瞬間の重みに、思わず膝をつく者さえいた。


ショーグンは最前列に立っていた。
瞳孔は点のように小さくなり、奥歯を強く噛み締めている。目の前で少しずつ広がっていく闇の先を見つめる彼の鼓動は、重いハンマーのように激しく打ち鳴らされていた。

「信じられん......」

彼は歯の間から言葉を絞り出した。

隣にいたカーリーは、呼吸を忘れたかのように口を開けたまま固まっている。

「子供たちよ、怖がることはない!」
カーリーの父親が声を振り絞って笑おうとしたが、その声は隠しきれず震えていた。
「落ち着くんだ、ただの門だ......。へへっ......ただの鉄屑じゃないか......」

「どうやって落ち着けって言うのよ?!」
カメリアが叫び、影の中へと一歩後ずさりした。
「お父さん、正気なの?!」


門は完全に見開かれた。軍人たちが合図を送る。
目の前に現れたのは階段だった。二百五十メートル上空へと続く、果てしない螺旋階段だ。

「ああ......うあぁ......ショーグン......なあ、これいつ終わるんだよ、頼むよぉ......!」
カーリーの泣き言は、階段の踊り場に響き渡ってすでに四十分が経過していた。

「俺が知るかよ! はぁ......はぁ......」
ショーグンは鉛のように重くなった足を交互に動かし、荒い息を吐いた。

「ショーグン、俺もう死ぬ......!」

「ああもう、いい加減にして!」
カメリアが耐えきれずに声を荒らげた。
「黙ってなさいよ、このバカ!」


ようやく彼らは最後の大詰め、一キロメートルにも及ぶ長い通路に辿り着いた。
人々はコンクリートの上に崩れ落ち、淀んだ空気を必死に吸い込もうともがいている。前方にある最後の門のそばでは、技術者たちがせわしなく動いていた。

カーリーの母親が子供たちの隣に腰を下ろした。

「さて、初めての感覚はどうかしら?」

「最悪だよ......」
カーリーが汗を拭いながら吐き捨てた。
「暗くて、埃っぽくて、湿ってる。ショーグン、お前はどうだ?」

「わからない」
ショーグンはトンネルの奥を見据えたまま、肩をすくめた。
「いつも通りな気もするが......けど、中の方は何か違うな」


カメリアは膝を抱え、虚空を見つめたまま座り込んでいた。

「カメリア、あなたはどうして黙っているの?」
母親が尋ねた。

「私......期待してるの。私たちは未知の世界へ向かってる。もしかしたら、あそこは全部緑かもしれない。あるいは逆に、全部火の海かもしれない。それとも、あそこには本当に何もないのかも。ただの空虚とか......?!」

「ふふ......落ち着きなさい。あそこにはきっと何かが......あっ?!」


前方から鋭い金属音が響いた。――ガガガガッ!

「このマヌケ! もっと慎重にやれと言っただろうが!」
第一技師が怒鳴り声を上げた。

「うるせえ! だったらお前が自分でやれよ!」
第二技師が言い返す。

「何だと? もう一度言ってみろ!」

「静かにしろ!」
近づいてきたメカニックがレバーを引きながら一喝した。
「吠えてる暇があるなら手を動かせ」

カルデ・フレックが彼らに歩み寄った。その瞳は熱病にかかったかのようにギラついている。

「へっ! 素晴らしい仕事だ!」
彼は笑ったが、その笑いは神経質なものだった。


門は一つ、また一つと開かれていった。だが、ついに最後の障壁に突き当たった。
プラクト・ノエルがライトで扉を照らし、思わず後じさりした。

「何だこれは......! 溶けている......それに、何か植物のようなものに覆われているぞ!」

その時、カーリーの傍らで見えない霊体として浮遊していたアガハンが、静かに囁いた。

「残るはあと一つの扉。その先には、新世界が待っている。ただ、お前たちがそこで生き残れるかどうかは......未解決の問題だがな」

「書類上では、ここが最終防衛線だ」
フレックが鋼鉄の継ぎ目を突き抜けて生い茂る、金属的な『緑』の根に触れた。

「鋼を突き破って生えているこの根を見れば、そんなことは一目瞭然だろう!」
ノエルが毒づいた。


技師たちがその機構と格闘すること、三時間。
長く、苦しい沈黙の時間。
そしてついに、最初にして最も重要な、大きな軋みが鳴り響いた。

門がゆっくりと左右に分かれ始めた。
そこから溢れ出したのは、彼らが生まれて一度も見たことのないもの――「眩い光」だった。
それと同時に、新鮮で、肌を刺すような、生命の匂いのする空気がトンネル内へと流れ込む。

人々は光に目を焼かれた。
最初の三十秒間、彼らには白い閃光しか見えず、肺は慣れない過剰な酸素に悲鳴を上げた。
だが、その後に......世界がその姿を現した。

どこまでも青い空、そこをゆっくりと流れる雪のような白い雲。地平線の彼方まで続く山々。
そして緑――至る所に、瑞々しく、鮮やかで、生き生きとした緑があった。
花、木々、遠くの川のせせらぎ、そして海の香り。

「ここはどこだ?」

「これは、どんな世界なんだ......」

「私たちは天国にいるのか? 死んでしまったのか?」

「神様......なんて美しいんだ......」


人生は永遠に変わった。
三人の友人――ショーグン、カーリー、カメリア――は、影の中から最初の一歩を踏み出した。
そして、彼らの肌に日光が触れた瞬間......。

「バ、バ、バ、ハ、ハ、ハーーーッ!!!」
カーリーは体を二つ折りにし、顔が干し葡萄のようにしわくちゃになるほど強く目を瞑った。
「痛い! ただ痛いんだ! 全身が痛いよぉ!!」


ショーグンは、容赦ない太陽から手で目を覆いながら、苛立たしげに息を吐いた。

「黙れよ、ったく......。我慢しろ、すぐに慣れる。ただ空気が違うだけだ。俺は医者じゃないが、これは自然な反応だと思うぞ」

「素晴らしい指摘だ、少年!」
元気な声が響いた。群衆の中から、光に目を細めながら地下都市の主任医師が歩み寄ってきた。
「君の友人の言う通りだ。急激な気圧の変化と純粋な酸素に、体がショックを受けているだけだ。すぐに治まるよ!」

「聞いたか?!」
ショーグンは勝利を確信したようにカーリーの肩を小突いたが、カーリーはただ唸り続けていた。


一方、カメリアは痛みなど完全に忘れたようだった。
彼女はすでにしゃがみ込み、指先で恐る恐る地面に触れていた。

「これ、花だわ......本物の花。それに草も!」
彼女は輝く瞳を友人たちに向けた。
「初めて地上(アッパー・ワールド)に触ったわ! これ......柔らかい!」


ショーグンはカーリーの泣き言に愛想を尽かし、少し離れた山河のほとりへと歩いていった。
少年は空を仰ぎ見た。

「太陽......」
彼は呟いた。
「眩しすぎて、見てるのが辛いくらいだ」

彼は両手で氷のように冷たい水を掬い、一口飲んだ。
ショーグンの目が大きく見開かれる。
それは、パイプから流れてくる塩素やフィルターの臭いがする味気ない代物ではなかった。
それは「生命」そのものだった。

「うまい......人生でこれほど美味いものを飲んだことはない。もう、あの再利用された......尿みたいな水を啜らなくて済むんだな」


小高い丘の上には、カルデ・フレックが立っていた。
内面では歓喜が渦巻いていたが、その表情は石のように硬いままであった。
彼は指導者(リーダー)なのだ。感情に流されるわけにはいかない。

「軍軍(ミリタリー)、前へ! 偵察を開始せよ!」
彼は鋭く命じた。
「外周を確保し、暫定的な境界線を設置しろ! 群衆は散れ! 通路に立ち止まるな。重機と資材の道を開けろ! 急げ!」


プラクト・ノエルが額の汗を拭いながら彼に近づいた。

「フレック、友よ、リラックスしろ! 俺たちはやり遂げたんだ。せめて一時間くらいは人々に休息を与えてやれ」

「貴様はなぜここに立っている?」
フレックは冷徹な眼差しで彼を振り返った。
「貴様も軍人だろう。さっさと仕事に戻れ! 行け、行け!」

ノエルはただ首を横に振り、兵士たちの方へと去っていった。
カメラはゆっくりと遠ざかり、地の底から這い出してきた文明の全貌を捉えていく。
やがて、画面は闇に包まれた。


カーリーの意識の奥深く。
アガハンが住まう冷たく静寂な空間で、青い影が満足げに口角を吊り上げた。

「素晴らしい、フレック殿......」
アガハンは虚空に向かって囁いた。
「私の計画に従うがいい。休息など、必要ないのだからな」

世界は一変していた。

全く別の場所、重苦しい灰色の空の下で、風が旗を緩やかに揺らしている。そこはカデルタリア。ただ建設されているのではない、苦悶と怒りの中で産声を上げている都市だ。

指導者、ヘルムフォル・ヴォルクリュはバルコニーに立ち、眼下で見事な執念を持って働く数千の民を見下ろしていた。
金属の軋む音、道を整える重戦車の轟音、そして煮えたぎるマグマの音。ヘリオスの力を持つ一人が大地を溶かし、未来の幹線道路となる滑らかな黒い鏡面へと変えていく。
民はただ造っているのではない、仕えているのだ。彼らは避難所(ブッカー)から救い出してくれたヴォルクリュへの感謝を示すため、命を削る覚悟でいた。


バルコニーにクリントが近づいてきた。石の床を叩く彼の足音は、正確で乾いた響きを立てていた。

「ヴォルクリュ様。命じられた任務を完了しました。新都市のための戦略的拠点を特定しました」

ヴォルクリュは振り返ることもなく、視線を地平線に釘付けにしたまま問いかけた。

「地形の説明を」

「すべては閣下の期待通りです」
クリントは直立不動の姿勢で答えた。
「広大な山脈。一方は平原で、居住区に最適です。もう一方は高地。過去の廃墟の上に、閣下のシタデル(城塞)を築き上げます」

「よろしい」
ヴォルクリュの声は静かだが、墓場のような冷気が漂っていた。
「民を連れて直ちに建設を開始せよ。誰一人として容赦するな。不平を漏らす者がいれば、誰のおかげで今ここにいるのかを思い出させてやれ。行け」


クリントは一礼して去り、ヴォルクリュは影の中に立ち尽くした。

(ついに、二年の月日を経てあの場所を見つけたか......)

レクヴィアがまだ穴倉に隠れていたこの二年間、彼は地上で帝国を築くための礎を探し求めていたのだ。そして今、彼はそれを手に入れた。


バルコニーの下の広場では、一人の労働者が限界に達していた。彼は重いセメント袋を落とし、道路の埃の中に倒れ込んだ。
すぐさま士官が歩み寄り、鞭を振り上げる。

「貴様、閣下を疑っているのか?!」

「いいえ......滅相もございません......」
労働者は顔を上げることなく、喘ぐように言った。
「ですが、もう限界なのです。どうか休息を。後で必ず埋め合わせます、誓いますから!」


周囲にいた数百の人々が、息を呑んで動きを止めた。士官がバルコニーを見上げる。
上に立つヴォルクリュは、ゆっくりと手を上げ、掌を開いた。――慈悲の仕草だ。

「よかろう」
士官は鞭を下ろした。
「閣下の許可が出た、行け。やり遂げた達成感と共に、ステーキでも食うがいい。下がれ」

労働者はバルコニーに向かって感謝の言葉を叫びながら膝をつき、兵舎の方へと這っていった。
ヴォルクリュはわずかに口角を上げると、奥の部屋へと姿を消した。

同じ頃、レクヴィアでは、地上へ出られたことへの最初の歓喜が、次第に厳格な規律へと取って代わられようとしていた。
フレックは、図面で埋め尽くされた巨大なテーブルの前に立っていた。
アガハンは助手たちが退室するのを待ち、ドアが閉まったその瞬間、指導者の目の前に姿を现した。

「フレック......」

「またお前か?」
フレックは疲れ切った様子で鼻梁を指で押さえた。
「今度は何だ? 見ろ、我々は出たんだ! 生きているんだぞ! ハハッ!」

「今日生き延びたことを喜ぶがいい。だが、決して気を緩めるな」
アガハンの表情に笑みはなかった。

フレックの体に緊張が走った。
彼は、この霊体が決して無駄口を叩かないことを知っていたのだ。

「なぜだ? 何が問題なんだ?」

「信じろ。この世界は、すでに『占拠』されている」
アガハンは、フレックの目と鼻の先まで顔を近づけた。
「信じがたい速度で準備を進めるのだ。民に休息を与えてはならん。造らせろ、そして鍛えさせろ。お前たちに......いや、我々に残された時間は、極めて少ない」

フレックの顔から血の気が引いた。

「何の話だ? なぜもっと早く言わなかった?」

「何の違いがある?」
アガハンは無関心に肩をすくめた。
「お前たちは、遅かれ早かれここへ出るしかなかったのだからな」

フレックは新しい街の地図を見つめたまま、長い沈黙に沈んだ。
やがて、彼は霊体へと視線を上げた。

「......お前を信じよう。言われた通りにすべてを執り行う」

「よろしい。私は行くぞ」

アガハンは数千の光る粒子となって砕け散り、空気の中に消えていった。
フレックは一人、その場に立ち尽くし、目の前の虚空を見つめていた。
窓の外ではまだ、間もなく終わりを迎える運命にある祝祭の喧騒が響いていた。
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平和のための戦争:エイドヴァの世界!作者:GMLLP
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