二番目の運命のひと
運命の人は2人いるんだって。
1番目の人は
恋愛の楽しさや辛さを教えてくれるひと。
2番目の人は
変わらない愛や結婚を教えてくれるひと。
君が2番目の運命の人だったら良かったのになぁ。
雨に閉ざされた世界でぼうっと立ち尽くす。
道行く人々の動きがスローモーションのように
見えて、降りしきる雨の音さえ聞こえない。
君は笑顔が可愛い人だった。
目が合うと嬉しそうにふにゃりと笑うのが
たまらなく愛おしくて。
そんな君と一緒にいられることが
幸せだった。
隣でずっと笑い合っていたいって、
そう思えた人は君だけだったんだよ。
それなのにさ。
目の前の赤い傘の中に女の子と並ぶ
君は幻かな?
君は大きく目を見開いて立ち止まる。
「どうしたの?」
小柄な可愛らしい女の子は
君を見つめた。
「いや......なんでも、ない」
わたしを無視して
通り過ぎた君を振り返る。
君はわたしのことを振り返りもしないのに。
胸がこれ以上ないくらいに
締め付けられて、痛い。
水の中にいるみたいに呼吸が苦しい。
口から漏れたあぶくのような嗚咽。
わたしは。
君にとってわたしは2番目の女で
わたしにとって君は2番目の運命の人で。
同じ『2番』だっていうのに、全然違うね。
涙か雨かもわからない雫が頰を伝う。
どうして?
何を間違えた?
どこがダメだった?
そんな泡が浮かんでは消えていく。
「ばか。なんで......
わたしが1番じゃないのよ......」
君の1番であり続けたかった。
それなのに、現実はとても残酷だ。
頭を駆け巡るのは君との思い出。
君がわたしに告白してくれて、
付き合うことになったよね。
まだ君を意識してなかったわたしは
初めての告白にドキドキして
その日はあんまり眠れなかったのを覚えてるよ。
戸惑うわたしに君は
『いつまででも待つから
答えを出すのはゆっくりでいい』
そう言ってくれたね。
その言葉に初めて胸がときめいた。
何回かデートを重ねて3回目で
正式にお付き合いをすることになったね。
恋人同士になって初めてのデートでは
ジェットコースターに乗って
怖がるわたしを面白がって笑ってた。
2人で歩いた帰り道、
そっと君からキスされて初めてのキスに
舞い上がっちゃったんだよ。
そんな甘酸っぱい思い出も
全部、全部、全部。
シャボン玉みたいに弾けて消えた。
いつの間にか雨が止み、
雲の隙間から虹色が見えた。
綺麗......。
その虹色の光がわたしの心まで照らしていく。
滲み出た雫が頰を濡らし、
わたしは空に向かって笑みを浮かべた。
「さよなら、2番目の君」
(終わり)