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2025年7月15日 かはら真理

 2025年7月15日
 見えない誰かさんへ

 はじめまして。
 わたしは、かはら真理といいます。
 あなたとこうかん日記をしてみたくて、こうしてかいています。
 見えないだれかさんは本当にいるのかわかりませんが、どうしても試してみたかったのです。
 あなたは本当にいるんですか?
 もしいるなら、続きをかいてください。明日、読みます。

 日記なので、とりあえず今日あったことを書きます。
 今日はいつもよりはいい一日でした。
 わたしの苦手な上原さやさんがかぜで休んでいたからです。あの子がいないと、おだやかな一日でした。このまま毎日休んでくれればいいのにと思います。

 一つ忘れていました。
 かえり、ふしぎなことがあったのを思い出しました。
 わたしの通学ろのと中には、「春田屋跡地」という場所があります。建物はありませんが、何百年も前の江戸時代、下たなどを売る有名なお店があったところだそうです。今は広い砂地に「春田屋」があったことを説明したかん板と、砂地の中央にたて長の石のようなものが立っているだけですが、「歴史的価値がある場所」としてC区の文化財にも登録されているそうです。
 そこで地域のおじいさんやおばあさんたちが集まって、何やらさわいでいました。「なんてことをしてくれたんだ」と怒っている人もいました。
 その中には、わたしの家の隣の吉川さんのおじいさんもいました。通りかかってあいさつをしたわたしを見て「おかえり」と吉川さんのおじいさんはおかえりと言ってくれました。そのときに、おじいさんたちが集まっているところにあるものが見えました。それは、たて長の小さな石だったのですが、灰色の石の右上半分が欠けていて、そばに同じ色をした石の欠片が落ちていました。
「何かあったんですか」とわたしが聞くと、苦しそうな顔をした吉川さんたちは教えてくれました。
「小雪様の供養碑が、誰かに壊されてしまったんだよ」
 たて長の石のことを「くようひ」と呼ぶことをそのときはじめて知りました。そしてそのくようひは、とても大切なものなんだそうです。
「昔、春田屋があったときに、ここで働いていた小雪という女の子がかわいそうな死に方をして、『小雪様』という悪い霊になってしまったんだ。その霊のために作られたのがこのくようひなんだよ」
 わたしが住んでいる地いきでは、昔からこの「小雪様」のくようひにおそなえものをしたりして、大切にしてきたのだそうです。
「昔からこのくようひはは『いたずらをしてはいけない』『こわしたりしてはいけない』と言われてきたんだ――誰がこんなことをやったんだかねえ」
 吉川さんのおじいさんが頭を抱えたとき、となりにいた知らないおばあさんが怒ったように言いました。
「自分のくようひをこわされたから、きっと小雪様は怒るぞ」
 悪いことが起こるぞ。
 おばあさんが誰かを脅すような声で言ったのが、すごくこわかったのを覚えています。
 くようひをこわしたのが誰なのかわかりませんが、悪いことが起こらないといいなと思います。

 かはら真理
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2025年7月16日
こうかんにっき作者:暇(いとま)崎ルア
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 わたしは、かはら真理といいます。
 あなたとこうかん日記をしてみたくて、こうしてかいています。
 見えないだれかさんは本当にいるのかわかりませんが、どうしても試してみたかったのです。
 あなたは本当にいるんですか?
 もしいるなら、続きをかいてください。明日、読みます。

 日記なので、とりあえず今日あったことを書きます。
 今日はいつもよりはいい一日でした。
 わたしの苦手な上原さやさんがかぜで休んでいたからです。あの子がいないと、おだやかな一日でした。このまま毎日休んでくれればいいのにと思います。

 一つ忘れていました。
 かえり、ふしぎなことがあったのを思い出しました。
 わたしの通学ろのと中には、「春田屋跡地」という場所があります。建物はありませんが、何百年も前の江戸時代、下たなどを売る有名なお店があったところだそうです。今は広い砂地に「春田屋」があったことを説明したかん板と、砂地の中央にたて長の石のようなものが立っているだけですが、「歴史的価値がある場所」としてC区の文化財にも登録されているそうです。
 そこで地域のおじいさんやおばあさんたちが集まって、何やらさわいでいました。「なんてことをしてくれたんだ」と怒っている人もいました。
 その中には、わたしの家の隣の吉川さんのおじいさんもいました。通りかかってあいさつをしたわたしを見て「おかえり」と吉川さんのおじいさんはおかえりと言ってくれました。そのときに、おじいさんたちが集まっているところにあるものが見えました。それは、たて長の小さな石だったのですが、灰色の石の右上半分が欠けていて、そばに同じ色をした石の欠片が落ちていました。
「何かあったんですか」とわたしが聞くと、苦しそうな顔をした吉川さんたちは教えてくれました。
「小雪様の供養碑が、誰かに壊されてしまったんだよ」
 たて長の石のことを「くようひ」と呼ぶことをそのときはじめて知りました。そしてそのくようひは、とても大切なものなんだそうです。
「昔、春田屋があったときに、ここで働いていた小雪という女の子がかわいそうな死に方をして、『小雪様』という悪い霊になってしまったんだ。その霊のために作られたのがこのくようひなんだよ」
 わたしが住んでいる地いきでは、昔からこの「小雪様」のくようひにおそなえものをしたりして、大切にしてきたのだそうです。
「昔からこのくようひはは『いたずらをしてはいけない』『こわしたりしてはいけない』と言われてきたんだ――誰がこんなことをやったんだかねえ」
 吉川さんのおじいさんが頭を抱えたとき、となりにいた知らないおばあさんが怒ったように言いました。
「自分のくようひをこわされたから、きっと小雪様は怒るぞ」
 悪いことが起こるぞ。
 おばあさんが誰かを脅すような声で言ったのが、すごくこわかったのを覚えています。
 くようひをこわしたのが誰なのかわかりませんが、悪いことが起こらないといいなと思います。

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