子どもの字で書かれた手紙
市川先生へ
ごめんなさい。本当に本当にごめんなさい。
あの日の放課後、何度捨てても帰ってくるノートを持って、2階のろう下でないているわたしを市川先生は見つけてくれました。
こうなったのは全部わたしのせいなのに、先生はわたしをかばってくれました。身代わりになってくれました。
わたしのことを知った先生がくれたお守りのお札は、もらった夜に勝手にびりびりにやぶけてしまいました。こわかったけど、先生に言われた通り水に流しました。
先生が校庭で燃やして灰にして、水に溶かして飲んだことは役に立ったのでしょうか? それだけが気になります。
だけど、見知らぬ誰かさんはもうわたしのところに来ていません。だから役に立ったんだと信じたいです。
市川先生。わたしのせいで、市川先生はもう二度と学校に来られなくなってしまいました。何度あやまっても許されることではないと思います。
「大丈夫。先生が何とかする」と言ってくれたあと、こうも言ってくれましたね。
二度とゆがんだ存在に助けを求めてはダメ。世界には人がたくさんいる。今はいないとしても、あなたのことをわかってくれて、苦しいときにそばにいてくれる人とは必ずいつか出会える。それを信じて、まっすぐに生きてほしい。
あのときの市川先生は、とてもまっすぐな目でわたしのことを見ていました。うそをつく人の目じゃありませんでした。
先生が言ってくれた言葉は、正しいんだと思います。これからもぜったいにわすれません。
わたしのことを守ってくれて、ありがとうございました。
わたしの人生はこれからも大変なことばかりだと思います。
だけど先生が身代わりになって守ってくれたわたしの人生を、いっしょうけんめい生きていきます。わたしの自分勝手な考えかもしれませんが、それがきっと大人たちが言う「つぐない」になるんだと思います。
市川先生、ごめんなさい。それから、本当にありがとうございました。
いつか、市川先生みたいにこまっている人をたすけられる人になります。
絶対になります。
鹿原真理