2025年7月16日 鹿原真理
2025年7月16日
見えないだれかさんへ
すごい! 本当にだれかさんはいるんですね!
わたしは昨日、自分の名前のみょう字を漢字で書きませんでした。
だけど、だれかさんはちゃんとわたしのただしいみょう字を当ててくれました。
あなたがわたしの部屋にいつ来たのか、どうやってこうかん日記の続きを書いてくれたのかはわかりませんが、本当にいるんだなと思えました。
こうかん日記なので、今日あったことをかきます。
だけど、少しいやな話になってしまうかもしれません。もしもいやな気分にさせてしまったらごめんなさい。
だけど、誰かにどうしても話を聞いてもらいたいんです。そうしないと、わたしの心はぐしゃぐしゃにつぶれてしまいそうだからです。
学校にいるのがすごく苦しいんです。
同じクラスの上原さんたちと違うクラス、できればちがう学校になりたいです。
わたしにはもう無理です。あの人たちといっしょにいるのが耐えられません。
授業がないとき、話しかけないでほしいのに、あの人たちはわたしに話しかけてきます。「本ばっかり読んできもい」とか「きもいめがねオタク」とわたしのことをわらいながら言ってきます。
そのたびにわたしはいやになって、トイレにこもります。
休み時間、お腹が痛くてトイレに入っているときも本当に苦しかった。わたしがトイレに入ったときは誰もいなかったのですが、あとからぞろぞろと何人かが入ってきました。個室に入ってくる音はしなかったので、きっと髪を整えに来たんだと思いました。
予想は当たっていました。個室の前の手洗い場の方から、「いつも思うんだけどさ、真理ってさー、マジキモイよね」という声が聞こえてきました。トイレでは必要ないぐらいの大きな声でした。
「はははっ、あーね」
「わかるわー」
「服だってどこで買ってんの? っていうぐらいいつも貧乏くさいし、うちらがいないときは本ばっか読んでるし」
「なんかすごく暗くて怖いよね」
「くさいトイレ女だしね」
そこまで聞いたわたしは、もうがまんできずに個室の中で泣いてしまいました。わたしの泣き声が聞こえたのか、手洗い場から爆発するようなわらい声が聞こえてきました。
こんなことをされるのを、担任の佐野先生に一度だけ相だんしたことがあります。佐野先生はいつも「こまったことがあれば言ってほしい」と言うからです。きっと何とかしてくれるかも、と思いました。
だけど、意味はありませんでした。わたしの話を聞いた佐野先生は、困ったようにわらって「自分を変える努力をしたらどうだろう」と言うだけでした。「一人で本を読んでいる人って、ちょっと話しかけづらいんだよ。だから、鹿原さんの方からみんなの方に入ってみたら、みんなの態度も変わるかもしれないよ」とまで言われました。
すごくがっかりしました。「先生が何とかかい決するから、こまったことがあれば相だんしてほしい」と言う意味で、いつもあんなことを言っているんじゃないかと思ってました。わたしの話を聞いて「あなたが変わらなきゃいけない」なんて言うだけなら先生じゃなくてもできるのに。
ママに相だんした方がいいのかもしれません。だけどパパとりこんしてからずっと仕事でいそがしいので、話をする時間はありません。してもきっと、心配をかけてしまうだけだと思います。
ごめんなさい、こんなにも長くこうかん日記に書いてしまいました。
見えないだれかさん、わたしはどうしたらいいんでしょうか?
教えてください。
鹿原真理