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第三話 人生初のアガリ


 麻雀卓に座った俺は、初めての手牌に緊張しつつ、メタさんの「気楽にやんな」の言葉で気持ちを落ち着けた。 

 全自動卓がシャーッと牌を配る音が響き、目の前に並んだ13枚を見つめる。一週間勉強してきたルールを、実戦で試す時が来た。頭の中で基本を反芻しつつ牌を整理し始める。

東1局
 南家でスタート。メタさんが「まあ好きに打ちなよ」と後ろから言う。
 対面北家の若い男性が早々に「チー」と鳴き、上家、親番の年配女性が淡々と牌を切っていく。俺は無難な字牌を捨て、メタさんが「それでいい」と頷く。

 数巡進むと、ピンズとソウズが揃い、あと1手替われば聴牌できそうだと気づく。30代女性が「ポン」と鳴いて場の空気が変わった気がしたが、メタさんが「初心者はまずチーポンせずに進めてみ。相手の動きのことは気にすんな」と助言。
 結局、下家の女性が「ツモ」と和了り。よくわからないが俺は2000点の失点だった。
 俺の手は未完成だったが、実戦のテンポに少し興奮した。

東2局
 親だ。メタさんが「ここは勝負局だ。メンゼンで形を作って思い切り攻めるといいぞ」と言う。
 配牌はまずまずだ。言われた通り鳴かずに進めようと決め6索7索を引き込んで手を進めた。メタさんが(いいぞ、その調子で大きく育てろ)と小声でアドバイスしながら頷く。

 すると年配女性が「リーチね」と宣言。後少しでこちらもリーチだったのに先手を取られた。

年配女性の捨て牌を確認

(端牌字牌の他に5索二萬六萬が切れてるな......)

乾手牌
二四②③④⑤赤⑥⑦67799 ドラ⑥

 ここにリーチを受けて俺が一発目に引いたのは伍萬。

 セコンドのメタさんは(ほう、イヌイめ。盤石な形になったな。ここはとりあえず現物の二萬を捨てて完全イーシャンテン)と思ったろう。しかし俺の考えは違う!


乾の選択
打7

(何っ!?)

 この時に相手の、とくに読みの鋭そうな下家30女性はこれを受けてこう感じたはずだ(親とは言え一発目から7索切りは強いわね。現物待ちでダマ12000なんて可能性もありそうだわ。5索とか特に危ないかも。これは切れない)ってね。
 事実、7索切りに危険を感じて30女性は5索のことを警戒。永久不滅の完全安牌である北をここで放す。
 また、対面の若い男もこの7索切りには敏感に対応した。彼は(六萬が切りにくくなったなあ。現物待ちだからダマにしたように見える)と考えた。
 若い男のほうは諦めたのか手の中から7索を抜き打つ。

 年配女性の一発目のツモは――

ツモ①
打①

 年配女性は一発ツモならず。

 そして、俺は引いてくる。待望のツモ三萬!!

(テンパイ!)

ほんの少ーしだけ間をあけて。
(0.5秒くらいね)
打二ダマ
 
 30女性はそれを見てホッとした。なぜなら、こう考えたのだ。
(割とリズムよく打ってた彼にいま、ほんの一瞬の間があった。少考のあと現物の二萬手出し。あきらめてオリてくれたかな。それならば――)

打5

「ロン!」

乾手牌
三四伍②③④⑤赤⑥⑦6799 5ロン

 俺は人生初のアガリを決めた。



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麻雀食堂作者:彼方
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 麻雀卓に座った俺は、初めての手牌に緊張しつつ、メタさんの「気楽にやんな」の言葉で気持ちを落ち着けた。 

 全自動卓がシャーッと牌を配る音が響き、目の前に並んだ13枚を見つめる。一週間勉強してきたルールを、実戦で試す時が来た。頭の中で基本を反芻しつつ牌を整理し始める。

東1局
 南家でスタート。メタさんが「まあ好きに打ちなよ」と後ろから言う。
 対面北家の若い男性が早々に「チー」と鳴き、上家、親番の年配女性が淡々と牌を切っていく。俺は無難な字牌を捨て、メタさんが「それでいい」と頷く。

 数巡進むと、ピンズとソウズが揃い、あと1手替われば聴牌できそうだと気づく。30代女性が「ポン」と鳴いて場の空気が変わった気がしたが、メタさんが「初心者はまずチーポンせずに進めてみ。相手の動きのことは気にすんな」と助言。
 結局、下家の女性が「ツモ」と和了り。よくわからないが俺は2000点の失点だった。
 俺の手は未完成だったが、実戦のテンポに少し興奮した。

東2局
 親だ。メタさんが「ここは勝負局だ。メンゼンで形を作って思い切り攻めるといいぞ」と言う。
 配牌はまずまずだ。言われた通り鳴かずに進めようと決め6索7索を引き込んで手を進めた。メタさんが(いいぞ、その調子で大きく育てろ)と小声でアドバイスしながら頷く。

 すると年配女性が「リーチね」と宣言。後少しでこちらもリーチだったのに先手を取られた。

年配女性の捨て牌を確認

(端牌字牌の他に5索二萬六萬が切れてるな......)

乾手牌
二四②③④⑤赤⑥⑦67799 ドラ⑥

 ここにリーチを受けて俺が一発目に引いたのは伍萬。

 セコンドのメタさんは(ほう、イヌイめ。盤石な形になったな。ここはとりあえず現物の二萬を捨てて完全イーシャンテン)と思ったろう。しかし俺の考えは違う!


乾の選択
打7

(何っ!?)

 この時に相手の、とくに読みの鋭そうな下家30女性はこれを受けてこう感じたはずだ(親とは言え一発目から7索切りは強いわね。現物待ちでダマ12000なんて可能性もありそうだわ。5索とか特に危ないかも。これは切れない)ってね。
 事実、7索切りに危険を感じて30女性は5索のことを警戒。永久不滅の完全安牌である北をここで放す。
 また、対面の若い男もこの7索切りには敏感に対応した。彼は(六萬が切りにくくなったなあ。現物待ちだからダマにしたように見える)と考えた。
 若い男のほうは諦めたのか手の中から7索を抜き打つ。

 年配女性の一発目のツモは――

ツモ①
打①

 年配女性は一発ツモならず。

 そして、俺は引いてくる。待望のツモ三萬!!

(テンパイ!)

ほんの少ーしだけ間をあけて。
(0.5秒くらいね)
打二ダマ
 
 30女性はそれを見てホッとした。なぜなら、こう考えたのだ。
(割とリズムよく打ってた彼にいま、ほんの一瞬の間があった。少考のあと現物の二萬手出し。あきらめてオリてくれたかな。それならば――)

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