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第21話:フィリベルトの過去

 光が部屋を優しく包み、ほのかに優しい温かさを感じる。ブリュンヒルトは再度、結界を張るとラファがシーツを握っていた、不安そうに。

 そんな様子にブリュンヒルトが「大丈夫ですからね」とラファに声をかける。


「大丈夫です、倒してみせますよ!」

「そうそう。安心してくれ。にしても、あのおっさん話しづらいなー」


 アロイは愚痴りながら窓の外へと視線を向ける。外にはフィリベルトが一人、警戒するように立っているのが見えた。

 彼の態度に不満があるのを感じてか、ラファが「あの方を許してあげてください」と話しかける。


「あの態度にも訳があるんです」

「訳?」

「......フィリベルトさんは昔、騎士だったんです」


 フィルベルトは昔、騎士として国に仕えていたらしい。けれど、まだ若いというのにそれなりの位にいたことが妬みの矛先になってしまった。

 部下の失敗が発覚した、そこまではいい。部下の失敗は上司にも責任があると言われても仕方ないことだ。

 けれど、その作戦を指示したのは上司であるフィリベルトだと部下が証言した。部下自身が行動したことと、指示を受けてのことでは話が変わってくる。

 フィリベルトはそんな指示を出してはいなかったが、他の部下の証言も出てきてしまう。この時、「あぁ、裏切られたのだな」と悟った。

 自分のことをよく思わない人間がいるのを知っていた。まだ若いというのに、どこか偉そうだと陰口を叩かれていることも。

 部下を買収することなど簡単なことだ、彼らも生活があるのだから。

 フィリベルトは全てを諦めた、疑いを晴らすことも、騎士であることも。自分を蹴落とそうとしている人間が誰なのか分からない以上は何をやっても無駄だと理解して。

 部下を責めることも彼はしなかった、彼らを悪く言うことをできはしなかったのだ。上司からの命令、買収を断ることができる下級の兵士などそういない。

 騎士を止めた後、フィリベルトは冒険者になったが此処もあまり変わらなかった。依頼の奪い合い、ランクを上げようと必死になってしまい手段を選ばなくなった者、嘘や裏切り。

 それらを見て人を信じてみることが不安になったのだとラファはフィリベルトから聞いたことを話した。


「わたし、外の世界って知らないからフィリベルトさんにいろいろ聞いていたの。その時にね、話してくれて......」

「そんなことが......」


 何十年も生きていればそういうこともあるとフィリベルトは言っていたが、それでも彼も多少は傷ついたはずだ。

 ラファは「許されることではないかもしれないですが」と言ってクラウスたちを見つめる。


「彼にも訳があったんだって少しでもその......思ってくれたらと......」

「俺は別に気にしてはいない」


 多少、気難しい態度ではあったがクラウスは気にしていなかった。そんなクラウスにアロイが「それ聞くとなぁ」と頭を掻く。

 フィリベルトの過去を聞くにあぁいう態度になってしまうのも無理はないかと思わなくもなかったようだ。

 ブリュンヒルトは「私も気にしてませんよ!」とラファに声をかけている。


「フィリベルトさん、自分には戦うことぐらいしかできないから冒険者やってるって、一人だって聞いて......」

「心配だったんですね」

「うん。わたしには何もできないから......お姉ちゃんたちなら分かってくれるかなって」


 ラファの言葉にブリュンヒルトは「力になれたらいいのですが」と返事を返す。そんな話を聞いてクラウスはなんとなく自身とフィリベルトを重ねていた。

 部下に裏切られて、戦うことしか己にはなくて。それは幼馴染に嘘をつかれてパーティから追放され、けれど戦うことしか知らず冒険者を続けている自分に似ているように思えた。

 幼馴染に嘘をつかれた時、あぁ裏切られたんだなとクラウスは一気に冷えた心を思い出す。嘘などつかずに素直に言ってくれたほうがどんなによかったことか。

 こんな自分とフィリベルトを比べるのは失礼かもしれないが、彼の気持ちが幾分か分かった。


「そろそろ彼の元に行くべきだろう」


 クラウスは考えるのを止めて二人に言う。アロイは「そうだった」と壁にもたれていた身体を起こした。


「じゃあ、行ってきます。大丈夫ですから、安心してくださいね」

「うん、気を付けて」


 ラファは三人に手を振りながら無事を祈るように返した。

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パーティを追放されけれど、助けた聖女と共に冒険者として生きていくことにした作者:巴雪夜
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第21話:フィリベルトの過去

 光が部屋を優しく包み、ほのかに優しい温かさを感じる。ブリュンヒルトは再度、結界を張るとラファがシーツを握っていた、不安そうに。

 そんな様子にブリュンヒルトが「大丈夫ですからね」とラファに声をかける。


「大丈夫です、倒してみせますよ!」

「そうそう。安心してくれ。にしても、あのおっさん話しづらいなー」


 アロイは愚痴りながら窓の外へと視線を向ける。外にはフィリベルトが一人、警戒するように立っているのが見えた。

 彼の態度に不満があるのを感じてか、ラファが「あの方を許してあげてください」と話しかける。


「あの態度にも訳があるんです」

「訳?」

「......フィリベルトさんは昔、騎士だったんです」


 フィルベルトは昔、騎士として国に仕えていたらしい。けれど、まだ若いというのにそれなりの位にいたことが妬みの矛先になってしまった。

 部下の失敗が発覚した、そこまではいい。部下の失敗は上司にも責任があると言われても仕方ないことだ。

 けれど、その作戦を指示したのは上司であるフィリベルトだと部下が証言した。部下自身が行動したことと、指示を受けてのことでは話が変わってくる。

 フィリベルトはそんな指示を出してはいなかったが、他の部下の証言も出てきてしまう。この時、「あぁ、裏切られたのだな」と悟った。

 自分のことをよく思わない人間がいるのを知っていた。まだ若いというのに、どこか偉そうだと陰口を叩かれていることも。

 部下を買収することなど簡単なことだ、彼らも生活があるのだから。

 フィリベルトは全てを諦めた、疑いを晴らすことも、騎士であることも。自分を蹴落とそうとしている人間が誰なのか分からない以上は何をやっても無駄だと理解して。

 部下を責めることも彼はしなかった、彼らを悪く言うことをできはしなかったのだ。上司からの命令、買収を断ることができる下級の兵士などそういない。

 騎士を止めた後、フィリベルトは冒険者になったが此処もあまり変わらなかった。依頼の奪い合い、ランクを上げようと必死になってしまい手段を選ばなくなった者、嘘や裏切り。

 それらを見て人を信じてみることが不安になったのだとラファはフィリベルトから聞いたことを話した。


「わたし、外の世界って知らないからフィリベルトさんにいろいろ聞いていたの。その時にね、話してくれて......」

「そんなことが......」


 何十年も生きていればそういうこともあるとフィリベルトは言っていたが、それでも彼も多少は傷ついたはずだ。

 ラファは「許されることではないかもしれないですが」と言ってクラウスたちを見つめる。


「彼にも訳があったんだって少しでもその......思ってくれたらと......」

「俺は別に気にしてはいない」


 多少、気難しい態度ではあったがクラウスは気にしていなかった。そんなクラウスにアロイが「それ聞くとなぁ」と頭を掻く。

 フィリベルトの過去を聞くにあぁいう態度になってしまうのも無理はないかと思わなくもなかったようだ。

 ブリュンヒルトは「私も気にしてませんよ!」とラファに声をかけている。


「フィリベルトさん、自分には戦うことぐらいしかできないから冒険者やってるって、一人だって聞いて......」

「心配だったんですね」

「うん。わたしには何もできないから......お姉ちゃんたちなら分かってくれるかなって」


 ラファの言葉にブリュンヒルトは「力になれたらいいのですが」と返事を返す。そんな話を聞いてクラウスはなんとなく自身とフィリベルトを重ねていた。

 部下に裏切られて、戦うことしか己にはなくて。それは幼馴染に嘘をつかれてパーティから追放され、けれど戦うことしか知らず冒険者を続けている自分に似ているように思えた。

 幼馴染に嘘をつかれた時、あぁ裏切られたんだなとクラウスは一気に冷えた心を思い出す。嘘などつかずに素直に言ってくれたほうがどんなによかったことか。

 こんな自分とフィリベルトを比べるのは失礼かもしれないが、彼の気持ちが幾分か分かった。


「そろそろ彼の元に行くべきだろう」


 クラウスは考えるのを止めて二人に言う。アロイは「そうだった」と壁にもたれていた身体を起こした。


「じゃあ、行ってきます。大丈夫ですから、安心してくださいね」

「うん、気を付けて」


 ラファは三人に手を振りながら無事を祈るように返した。

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パーティを追放されけれど、助けた聖女と共に冒険者として生きていくことにした作者:巴雪夜
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