第1話 日常という名の地獄
俺の名前は鈴木龍星
高校2年生の一般的な陰キャだろう。
名前に似合わぬ引っ込み思案な性格で
昔から外に出るとクラクションや自販機の音が気になって落ち着かなかったり
メールを送るのにも考えすぎて時間をかけてしまったり
ほんの些細な変化にも気づいてしまって
何事も感情移入しすぎてしまうから
映画もあまり好きじゃない。
それに誰かが怒られていると
自分が怒られているみたいに感じてしまうこともあって。
周りからは「気にしすぎ」だの、茶化されるのが日常だった。
しかし
中一のときに参考書を買うために寄った紀伊國屋書店で
「繊細さんの本」というものが目に留まり足を止めた。
〝気がつきすぎて疲れる〟という文面を見て
ピンと来た俺はその本を手に取り、適当にページをパラパラと捲る
「繊細さん診断テスト」という項目に目で追うと
どれも自分に当てはまっていて、俺はその日を機に
自分がHSP
通称・HighlySensitivePerson
だと知った。
それは親友の圭ちゃんも理解してくれていて
俺が本音を離そうとすると泣いてしまうのも
「そういう気質なら仕方ねえだろ」と、ぶっきらぼうに言いながらも変わらずに一緒にいてくれた。
圭ちゃんは小学生の頃からの親友で
俺らは部活こそ違えど中学も同じで
いつもどちらかの家に集まってはDSやSwitch、プレステでゲームをしまくって
帰りにゲーセンに行っては音ゲーやメダルゲームなんかするのが日課だった。
そんな中で、俺は圭ちゃんに恋心を抱くようになった。
きっかけは忘れもしない中二の春
放課後の教室。
桜の花びらが風に乗って窓から入り込み、教室の床にふわっと舞っていた。
教室にはもう数人しか残っていなくて、俺と圭ちゃんはいつものように、向かい合わせで机をくっつけて、くだらない会話をしていた。
「つかさ、修学旅行の班決め、あれ微妙じゃね?」
「うーん...まあ、俺は圭ちゃんと同じだから別にいいけど...元カノいるんだっけ?」
「そうそう、LINEもインスタもブロックしてんのに、未だに捨て垢とか使って連絡してくんだよな、まじだるい」
「え...大変、だね。ていうかなんで別れたの?あんなラブラブだったのに...」
「いや、まあ最初は好きだったんだけどな?途中から束縛激しくなったんだよ」
「束縛?」
「そ、彼女できてからお前と帰ること減ったじゃん?」
「そうだね。そういえば、昼休みとか、俺と食べるか彼女と食べるかで揉めたこともあったよね...?」